まぁ京都が舞台だったんでイメージがつかみやすいというのもあったんですが、妙にゴテゴテと飾り立てた修飾を使わないスッキリした文章でスト-リーの緩急を見事に文のテンポで表現している点が凄く参考になりましたね。話の筋というか、犯人なんかは結構すぐにわかっちゃうんですけど、それでも盛り上がり始めた後半から最後までテンションを持続させてさらにクライマックスで盛り上げられる構成のうまさとテンポの付け方は見事と思いました。確かな心理学、犯罪学の知識(といってもさすがに作りはありますが)もリアリティを増してくれます。伏線の張り方も派手ではないですが実に効果的。読んでて面白いと同時に勉強にもなりました。まぁテーマは少なくともこの小説に限ってはかなり現実的で、その点は私が敬愛する村上春樹とは少々趣が違いますが(ま、村上春樹も見方次第ではいくらでも社会的とも現実的とも取れるのですが、表向きのテ-マの印象として)、それはそれで納得させられてしまう力強さもまた凄まじく、改めて色々な作家の本も読んでみるもんだなと痛感させられました。貴志祐介の本は明日違うのを買ってもう1冊読んでみることにします。
その点桜井亜美はテーマは面白いとは思いましたが、文章に変な修飾が多すぎてしかもそれが私の中でうまくイメ-ジ化できなかったのと、舞台転換があまりに唐突なため途中で読み手が話に置き去りを喰らったような感覚に陥ってしまうのがあまり好きじゃありませんでしたね。まぁ1冊しか読んでないので好きじゃないと完全に断定はしませんが。テーマはむしろ桜井亜美の方が私好みなんですけどね・・・。
ま、とりあえずしばらく色々な現代日本の作家を読み漁ってみるのもまた一興かなと思ってみたりもします。勉強になりますしね。文章を書く時自分が目指すべきスタイルというものもちょっとつかめてきそうな気配がするんで。おかげでまた本格的に小説家になりたいなとか思い始めてます。昔はそればっかで、この1年程はその衝動落ち着いてたんですけどね・・・。
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