そうそう、「実はかなり凄いらしい」と実に曖昧な情報を仕入れてから三年程、見事に放置してしまっていた柴田杏里ですが、中古のCDを見つけたというのもありようやく二枚買って聴いてみました。一部の人々の中では柴田杏里というといち早く藤井敬吾先生本人以外で『羽衣伝説』をCDに録音した人というイメージが強いでしょうが、今回私が買ったのはそれ以外の二枚です(苦笑)。・・・だって中古なかったし・・・。まぁそれはさておき、私が柴田杏里氏が凄いという情報を仕入れたのはまだ東京に出てきたばかりの時、藤井敬吾先生がGGショップでマンドリンの柴田高明氏とコンサートを行った際の打ち上げて知り合った人からです。その人は柴田杏里氏の演奏を生で何度か聴いて、確か習ったこともあると言ってたように思うのですが、曰く「日本人離れしたリズムセンスでラテン系の曲をカッコよく弾く」とのことでした。しかしいざCDを手にしてみて最初に思ったのは、実はこの柴田杏里、何と『リブラ・ソナチネ』の第三楽章フォコや『タンゴ・アン・スカイ』、『ヴィラ=ロボス讃歌』第四楽章トゥーンといった今では定番となったディアンスの名曲たちを大萩康司よりも福田進一よりも鎌田慶昭よりも早く録音しているのですね。なかなか先見の明を持っています(?)。でも、彼のディアンスは正直イマイチです(爆)。なんか、彼のディアンス凄いゆっくりなんですよ。しかも『タンゴ・アン・スカイ』ではわけのわからないところにわけのわからないハーモニクス入ってるし。正直凄い違和感があります。ですが、確かにスペインものやラテンものはもの凄くカッコいいです。しかもさりげにアンヘル・バリオスも『グラナダの花』、『トナディーリャ』他数曲入れてます。が、『トナディーリャ』は藤井敬吾先生の演奏を聴き慣れているとやはり違和感があります。やっぱりゆっくりですし、曲の作り方が全然違う。まぁ、柴田杏里の方がスペインっぽいといえばスペインっぽいのですが。ですがアジャーラの『セリエ・アメリカーナ』よりの抜粋や、R.S.デ・ラ・マーサ、E.S.デ・ラ・マーサ、ロドリーゴ、ファルーといったスペイン/ラテンものの演奏はヤバイくらいカッコいいです。特にR.S.デ・ラ・マーサの『ロンデーニャ』はいい!これを聴くためだけでもCD一枚買う価値はあると思います。しかし柴田杏里、デビューアルバムでスペインものの曲を集めたのはいいのですが、スペインものやってアルベニスもグラナドスもファリャも一曲も入れず、ロドリーゴも有名どころは一曲も入れず(『朱色の塔の影にて』という曲が収録されている。普通こんな曲知らん)、R.S.デ・ラ・マーサやE.S.デ・ラ・マーサ、アンヘル・バリオスといった辺りを中心に据えて来るというのはかなりいい度胸してます。絶対売ろうと思ってねぇ(爆)。
ともあれ柴田杏里、曲レベルで多少の辺り外れはあるものの(ってゆーかそれも好みの問題かも)、スペインものは相当マニアックな曲を相当カッコよく聴かせてくれます。果たして彼は、『羽衣伝説』を一体どのように弾いているのでしょうか・・・?
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