2005年7月10日日曜日

Cragganmore - クラガンモア14年 1989 シグナトリー アンチルフィルタードコレクション






クラガンモア14年 1989 シグナトリー アンチルフィルタードコレクション
Distillery : Cragganmore

Years : distilled in 1989/04/18 and bottled in 2003/12/09, aged 14 years

Area : Speyside

Bottler : Signatory

Cask Type : unknown (hogshead)

Product : 46% vol, 700ml

Price : 3,900yen

Remarks : -



 数々の人気シリーズをリリースしているボトラー、シグナトリーの「The Un-Chillfiltered Collection」シリーズのクラガンモア。このシリーズは文字通り一切の冷却濾過を行わないのが特徴で、そのため寒い場所で保管したり冷たい水で割ったりすると色が白っぽく濁ることもある。試しに冷蔵庫でキンキンに冷やした水で割ってみたら見事に白濁してくれた。ボトルにも記述されているが、冷却濾過を行わないことでより一層ボディや香りの強いモルトに仕上がる。このシリーズはそんなに値段も高くなく、酒質も安定していいものが出てくるので人気が高いそうだ。何はともあれ大好きなクラガンモア。オフィシャルと比べてどのような違いが出てくるのか、非常に楽しみに飲んでみた。

 まず最初に思ったのは、オフィシャルほど香りが広がっていかないなということ。オフィシャルのクラガンモアはもう栓を開けた瞬間に軽く華やかな香りがパーッと広がっていくのだが、こちらはそこまで軽やかな性質の香りは持っていない。クラガンモア特有のベトつかないさらっと溶けていくような甘みの香りがより濃縮されて重くなり、どこか干しブドウやドライフルーツを思わせる枯れた濃密な甘みが加わっている。香りというのは濃厚になればなるほど足が重たくなって広がりにくくなるのかもしれない。とはいえクラガンモアらしい爽やかな草木のような芳香や、かすかな落ち葉のような枯れた香りも確かに感じられ、「ああ、やっぱりクラガンモアだ」と思わせる。収穫され積み上げられた葡萄が発するような、ちょっと酸っぱい甘さの香りもする。さすが最も複雑な香りを持つと言われるクラガンモアだ。

 口にしてみると、やはりオフィシャルよりも濃密になって、軽く口の中で溶けて消えていく和三盆というよりは、より主張の強いメイプルクッキーのような甘さと、オフィシャルにはないオイリーさがまず目立った。実際、オフィシャルと比べてかなり長いアシを持っている。この濃縮された甘みとオイリーさはアンチルフィルタードという仕上げ方が生み出したものだろう。とはいえ、その甘みも強く感じるのは一瞬だけで、すぐに嫌みなくスッと消えて余韻の中に入っていく。そして最後にはオフィシャルと同じ草木の香りを口の中に残して、意外にもあっさりと味も香りも消えていく。オフィシャルを太く短くしたような、そんな印象のモルトだ。まぁ濃厚と言ってもシェリー樽熟成のものなどに比べればスッキリしたものだが、ただ、個人的にはクラガンモアはここまでボディが強くなくてもいいかなと感じた。オフィシャルの非常に上品で洗練された味わいが、少しばかり粗野になってしまった気がする。これはこれでおいしいけれど。最後になったが、私が手にしたボトルはカスクNo. 974、387本中の179番だった。

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