2006年1月22日日曜日

関東の雪と『ポーラ美術館の印象派コレクション展』






自宅の窓からの雪景色 今日は関東地方に雪が降り、ここ日吉もその例外ではなく、なかなか素敵に積もってくれました。朝起きて窓を開けてビックリです。写真はその朝10時時点で私の部屋の窓から見えた雪景色です。部屋の前が山になって一軒家が視界に入ってくるので、雪が積もるとなかなか趣があるのです。ちょっといい感じでしょう?撮ってみて意外と出来が良くて気に入ったので、思わずこの画像をPHSの待受画面にしてしまいました(笑)。う~ん、風情があるのう・・・。PHSのカメラも結構よく撮れます。


 というわけで今日は降りしきる雪の中、午前中は新居探しに不動産屋へと向かっておりました。思えば私が今住んでいるマンションを見つけた時も1月のセンター試験が行われている日で、関東地方一円で大雪が降る中凍えそうになりながらまだ工事中のこのマンションを見つけたのです。今日のニュースで2001年のセンター試験の日も大雪だったとありましたが、まさにその日です。私が部屋を探す日には雪が降るというジンクスでもあるのでしょうか。それともセンター試験の日に雪が降るというジンクスがあって、その日に私が部屋を探すからいけないのでしょうか。別に意識してセンター試験の日を選んでいるわけではないのですが。そういえば、私が現役高校生でセンター試験を受けた日も大雪でした。とはいえ部屋探し。なかなかいい部屋はあるのですが、ギターと三味線を弾くと言ったら何処も彼処も断りを入れてきやがる。ピアノとかサックスとかバイオリンに比べたらかわいいもんだっつの。・・・やれやれです。

 そして午後からは仕事をしに渋谷へ。渋谷でも雪は余裕で本降りでした。さすがに出社してる人も少ない。というか、渋谷自体いつもより空いてました。そして仕事を切り上げた後は、その渋谷が空いているという事実を逆手に取って、休日の渋谷を堪能することにしました。まず最初に向かったのはBunkamura ザ・ミュージアム。『ポーラ美術館の印象派コレクション展』です。先の『プーシキン美術館展』モネの『白い睡蓮』がいたく気に入った私は、今回の展で睡蓮の連作の別の2点が見れるらしいということを知り、それは是非行ってみなければと思っていたのです。

 やはり案の定、雪の降る中美術展に行こうという人間は少ないらしく、見事に空いていました。この前の『プーシキン美術館展』が狂気の沙汰と思えるくらいガラガラでした。おかげでゆっくりと見ることができました。今回は展全体としては『プーシキン美術館展』ほど「いいなぁ」と思える作品はなかったわけですが、モネの作品は2点の睡蓮はもちろん、その他のものも非常に素晴らしかったです。今日気付きましたが、どうやら私はモネの絵が好きらしいです。印象派の有名どころだとセザンヌゴーギャンは正直よくわからんし、ルノワールカミーユ・ピサロはきれいだとは思うけど何か心に訴える力が弱い気がするし、ゴッホは狂ってるし(苦笑)、なかなかピンと来るものがなかったりもするのですが、モネは凄く素直に惹き付けられてしまうのです。今回は非常に空いていたので、モネで四方が埋め尽くされた一画に居着いて真ん中のソファに座りながら、ゆっくりと2点の睡蓮その他の作品を鑑賞していました。

 今回観れる睡蓮は『睡蓮』『睡蓮の池』の2点。『白い睡蓮』とほぼ同じ構図を持つ『睡蓮の池』は、『白い睡蓮』よりもちょっと粗くてぼやけた印象のタッチで描かれていて、同じ対象、同じ構図なのに雰囲気が変わっていてなかなか面白いのです。ちょっと全体的に暗くて重い印象になっている。描かれる水面の美しさはやはり素晴らしく、『白い睡蓮』のような鮮烈さというよりはもっとじっくりとした落ち着きを感じます。そして岸辺や橋が構図から消失し、水面と睡蓮、それに大気だけが絵の中に入った『睡蓮』は、鮮烈で生命感溢れる『白い睡蓮』とも、湿り気を帯びた落ち着きのある『睡蓮の池』とも全然違って、非常に静かで幻想的な『睡蓮』を描いていました。水面をたゆたう水蒸気の空気の質感が実にリアルで、絵なのにその場で揺らいでゆっくりと沸き上がってくるよう。描かれている対象は全然幻想でもなんでもない睡蓮の池なのに、雰囲気はまるでこの世ではないかのような、彼岸を思わせる静謐でどこか悲しげな幻想的な空気。不思議です。

 その他のモネの作品で特に気に入ったものは、まず『アルジャントゥイユの花咲く堤』。大胆に堤に咲く花を全面に描き出し、後ろに夕暮れの背景を描いたこの絵は、何か劇的なドラマの終幕を連想させる、何故か人の死を連想させる、そんな強い哀愁に満ちていて、それが非常に印象的でした。『セーヌ河の日没、冬』は遠くから観ると非常に景色が美しい。川面と流氷に反射する夕陽のコントラストが、とても美しいのです。この絵に限ったことではないのですが、モネの絵は近くで観るよりもある程度距離を離して観た方が美しい。大きさや絵それ自体にもよりますが、3mは離れてみた方がいいように思います。そして離れて観てみると、モネの絵は他の作家と比べて際立った存在感がある。離れていても強烈に訴えるものがある。今日は空いていたので、3mと言わず部屋を一杯に使って10m以上離れて観てたりもしたのですが、そこまで離れても、むしろ離れた方が、絵が非常に生々しく感じられる。そしてそれはやっぱり印刷では伝わらないのです。『ジヴェルニーの積みわら』は、『プーシキン美術館展』で観た同じ積みわらのシリーズは何だかピンと来なかったのですが、今回のはよかったです。

 そしてその後はBook1stへ行って本を見て、河内屋に行って酒を見て、一蘭でラーメン食べて帰ってきました。雪が降ってるせいかいつも並んでいる一蘭が空席だらけでした。ビックリです。そのようにして渋谷に休日は過ぎて行きました。

 ・・・しかし一日中雪に打たれながら色々歩き回ったせいか、夜は頭痛に悩まされていましたとさ。蛇足ですがこの『ポーラ美術館の印象派コレクション展』、3月には京都の京都駅ビル美術館『えき』(確か伊勢丹の上)に、その後は福岡に行くそうです。興味のある方はどうぞ。

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