2006年3月27日月曜日

新居決定

 ずっと延び延びになっていた新居の部屋探しですが、無事に今日決定いたしました。K-Styleコトー先生に「凄く親身になって部屋を探してくれる人だから」と日吉の不動産屋イシイプランニングさんを紹介していただいたのが記録によると11月20日。それで決まったのがやっと今日ですから、いかに私の腰が重かったかが伺い知れます(苦笑)。ともあれそんな長期間に渡り、ロクに反応すらしないことも多かった私にめげずに色々な物件の情報を送り続けてくださったイシイプランニングの石井さんに感謝です。

 私が石井さんの店を訪れるのはいつも突然で、最初もコトー先生に紹介の電話を入れていただいて3分後には店に行ってましたし、メールでやり取りをしていて紹介いただいた物件を自分で見に行った帰りにフラッと寄ることもありました。そしていざ部屋を決めた今日も「昨日ご紹介いただいた物件、やっぱ見てみたいんで午後から行っていいですか!?」くらいの勢いで朝にいきなりメールをして飛び込む始末(爆)。そのくせ向こうからいただくメールへのレスポンスはあまりよくなかったので、きっと厄介な客だったことでしょう。それでも行く度に丁寧な対応をしてくださり、各物件のいいところも悪いところも忌憚なく教えてくださるので物件を選ぶ際のいい参考になりました。突然フラッと店に寄った際、部屋を決める時期に関してご相談させていただいた際も非常に的確な回答をくださり、おかげで焦ることなくいい部屋を探せることができました。日吉で部屋を探すことがあるのならイシイプランニングさんはお薦めです。

 今度の部屋は駅からは少し離れています。歩けば歩けないことはないですが、基本的にはバス圏内でしょう。ですが都会にしては珍しく周囲に畑があるほど静かな新興住宅街で、建物は古いですが部屋はリフォームのおかげで非常に綺麗ですし、何よりとても広いです。オールフローリングで7畳、6畳、6畳、16畳(!)の3LDK。それでも今の部屋の家賃に2万円足した程度なので価格的にもお得です。高台のマンションで周りに他に高い建物がないので、部屋からみなとみらいのランドマークタワーなんかも見えます。昼の展望もよいですが、きっと夜景もいけるに違いありません。なかなか、住むのが楽しみです。まぁ、高台にあるということはまた日吉の坂と闘うロケーションであることは確かなのですが(苦笑)。

 こうして、新しい生活の準備が少しずつできていきます。ふむ、何だか不思議なものです。

2006年3月26日日曜日

消えていく思い出達 - 神戸ポートピアランド

 神戸にある遊園地、『神戸ポートピアランド』が今月一杯、31日をもって閉鎖になるというニュースを聞いた。神戸の海に浮かぶ人工島都市ポートアイランドにあるこの遊園地に初めて行ったのは、高校の修学旅行の時だった。神戸では一日自由行動、宿泊は京都なので各自神戸から京都に移動して京都で集合というある意味リベラルな修学旅行。とはいえ修学旅行という建前上、規律的にはポートピアランドのような遊園地に行くことは許されないわけだが、そこは体育祭をばっくれてもばっくれたことがばれないくらい用意周到な我らのグループ。学校から支給された『写ルンです』には午前中に行った異人館での写真をひたすら詰め込み、ポートピアランドでの写真はプライベートのカメラに集中させるという計画的な行動で無事に遊園地で遊ぶ午後を手に入れることに成功した。

 ポートピアランドは楽しかった。当時組んでいたバンドのメンバーと神聖皇帝らで構成されていたウチらの班(本来同じ組でのみ構成されるはずの班だが、ウチらには「同じ組のヤツといてもつまらん」と言って抜けてきた他の組のバンドメンバーもいた。そして驚くくらい女っけの無かったウチらのグループは、当然のように男だけで構成されていた)は、とにかく絶叫系のアトラクションを中心に神戸の遊園地を堪能しきった。絶叫系のアトラクションにリピートも含めて10回以上乗った結果、京都に向かい疲れ切った電車の中では目を閉じると空間が加速する感覚が蘇るくらいにまで感覚が研ぎすまされ、「あー、目を閉じると今でもジェットコースターに乗ってるみたいだよ」とか言いながら京都へ向かっていたのを覚えている。

 特にお気に入りで思い出深いアトラクションは『リバーボート』と『フライング・カーペット』、そして何と言っても『スーパー・ループ・オン・トップ』。後の2つに至っては検索するまでもなくその名前が思い出せるほど印象深いアトラクションだった。

 『リバー・ボート』は文字通り川の中をボートで進んでいくような感覚が味わえるアトラクション。ディズニーランドで言うところの『カリブの海賊』だろうか(ちなみにディズニーの『カリブの海賊』もお気に入りのアトラクションの1つである)。まず高い方へとボートが登った後、水の流れの中をゆったりと進んでいき、最後には11mの高さから滝を落ちるような感覚で下っていってフィナーレを迎える。その上層部でのんびりと水流の中をボートが進んでいく中、前に乗っていたバンドメンバーとお互いの姿を撮り合った写真が残っている。

 『フライング・カーペット』は何のことはない、船状の乗り物がグオングオンと前後に大きく揺れるブランコのように振り子運動を繰り返すだけの代物。それだけでは大して面白くはない。が、それに乗った神聖皇帝のリアクションが最高だった。不慣れな絶叫系アトラクションに凍り付く神聖皇帝。その横で振り子運動のピークに会わせてブッチャーの地獄突きのように掌を上に指を揃えて腕を突き出しながら、「ブシャーーッッッ!」とか叫び続ける私達。妙に楽しかった。

 そして一番のお気に入りが『スーパー・ループ・オン・トップ』だ。これはある意味斬新なアトラクションで、スピードではなく回転や捻りで勝負してくる。椅子に座った状態で360度グルングルン回されたり、完全に上下逆さま天地無用になった状態でピタッとしばらく静止し、「おやっ?」と思った頃に突然回転を始めたりして、とにかく変な重力体験をさせてくれるアトラクションだった。ジェットコースターは進行方向へのスピード感とGで勝負をするが、これは完全に天地無用の無重力状態で頭と足がクルクル地面に対して入れ替わる、そんな回転と万有引力に逆らう感覚が魅力のアトラクションだった。私とバンドの2ndギターをやっていたヤツはこれがとにかく好きだった。間を溜めてグルン、グルン、と回る度に、それに合わせて手を突き出し、「ブシャーーーッッッ!」とか叫んではゲラゲラ笑っていた。この乗り物が本当に気に入った私と仲間は、フリーパスを使って計4回ほど繰り返し乗ったものだ。大学時代にも1、2回ほどポートピアランドには来たが、その時もこの修学旅行でのことを思い出しながら、少し感傷に浸りながらこの『スーパー・ループ・オン・トップ』に乗っていた。

 神戸ポートピアランドには、そんな高校時代の思い出が詰まっている。新潟の、文字通り田舎の高校生にとって、あそこはもの凄く刺激的だったものだ。私達が神戸を訪れた数ヶ月後、あの阪神・淡路大震災によって思い出の地の1つである異人館は一旦潰れてしまった。だから、大学に入って初めてポートピアランドに行った時、『スーパー・ループ・オン・トップ』等の当時のアトラクションがそのまま残っているのを見たときは変に嬉しくなったりしたものだ。ポートアイランド自体は全体が液状化してしまい大変なことになったらしいけれど。

 そういった思い出の地がなくなる。寂しいことだ。もう二度と行けないんだなと思うと、閉園までの間にもう一度行きたくすらなってくる。まぁ、遊園地に一人で行くのはあまりに現実的ではないのだけれど。当時神戸の町並みがえらく気に入った私は、京都のホテルのベランダでバンドの仲間と酒を飲みながら(高校生だろ!? というツッコミは今更やめていただきたい)、「将来はこの神戸や京都で頑張ってみるのもいいかなと思った」と語ったことを覚えている。そしてその二年後、無事に立命館に合格を果たした私は京都に出てくることになるわけだ。

 神戸ポートピアランドもここ数年は客足が伸び悩んでいたらしい。この社会ではどんなに望んでも仕方のないことはあることはあることはわかっている。わかっているから、寂しいけれど閉鎖という事実をどうすることもできない一個人としては、せめて思い出を書いておくことでこの素晴らしい記憶をくれた遊園地と、高校時代への私達自身へのオマージュとして記録しておこうと思う。それは多分に感傷的な理由からだけれど。まぁ、たまには感傷も悪くない。

 これはまったくの余談ではあるが、修学旅行でポートピアランドを楽しんだその夜の京都の河原町での自由行動の際、私とバンドメンバーの一人はホテルに戻る時間になっても帰らずに教師をやきもきさせ、切れる寸前まで追いつめた。その理由は「夜に飲む酒を売っているところを探して買っていたから」だ。しかしそれ以前に家族旅行で何回か京都に来ていて、河原町の地理にそこそこ詳しい私のことを知っていた仲間達は、まったく心配をしていなかったらしい。「まぁアイツのことだからどこかで時間を忘れて何かをやっているんだろう」と。まったく、私はいつもそんなキャラだ(苦笑)。

2006年3月22日水曜日

札幌出張

 昨日・今日と札幌に出張していました。幸か不幸か3月末らしからぬ低気圧にブチ当たり、着くなり真冬と見紛わんばかりの風雪に見舞われました。いやー、寒かったです。昨日今日とずっと結構な量の雪が降ってましたからねぇ。まぁ多少寒いくらいの方が北海道っぽくていいと言えばいいのですが。

 今回は札幌という遠い地での納品・教育ということで、朝7時半羽田発の飛行機に乗り、10時過ぎに客先着、その後は午前中に納品作業で午後から教育を実施するという実にタイトなスケジュール。一歩でも予定が狂えばもうサヨナラの、なかなか緊張感溢れる仕事でした。まぁ結果としては無事予定通りオンスケですべてを終え、夜には一仕事終えた感満載ですすき野に飲みに行くこともできたのでよしとしましょう。北海道の海の幸を堪能し、上司と営業と別れてお互い個人プレイに走った後は雪降りしきるすすき野を真っ白になりながらよさそうなバーを探して、結局サントリー直営のバーを見つけてそこで一人でひたすらシングルモルトを飲んでいました。バーテンダーさんとモルトの話で盛り上がり、最後には普通には売ってない(おそらく山崎蒸留所に直接行かないとない)山崎15年の樽出し原酒をいただいて、またそれが非常においしくて、かなりご満悦に酔っぱらってホテルに帰って行ったとのことです。山崎のいわゆるカスクストレングスですね。樽から出してそのままのヤツなので、度数も56度あるのですが非常にまろやかでおいしかったのです。全然度数が強いとは感じない。とはいえそれを普通にストレートで飲んでいたらバーテンダーさんに「いい飲みっぷりですねー、56度もあるのに」とつっこまれたとのことです。しかし非常においしいモルトだったのは確かなのですが、翌日冷静になった頃に計算してみたらあの一杯が2,000円くらいしてた・・・。そういや「山崎15年のカスクは非常に貴重なものなので、ちょっとお高くなってます」と会計時に言われたような・・・。まぁ、いいです。

 北海道はいいですね。食べ物もお酒もおいしい。とはいえさすがに遠いので、あまり頻繁に行くとなると辛いですが、たまに出張する分にはいいかなと思います。お土産もおいしいの多いですしね。まぁ今回の案件を無事に導入成功させて、これを機に次の案件へと拡げていって定期的に札幌を堪能できるようになればなと思います。かしこ。

2006年3月18日土曜日

麦焼酎 小城






小城
製造元 : 天山酒造

熟成年数 : -

地域 : 佐賀

原材料 : 麦・麦こうじ

製品情報 : 25度, 720ml

価格 : 1,100円

備考 :


 シェリー樽熟成の麦焼酎。その売り文句は、一部の人には目に入った瞬間に激しくツッコミを入れたい衝動を覚えさせるはずだ。私もそうだった。そして実際心の中で大きくツッコミを入れた。「シェリー樽熟成の麦焼酎って、・・・ウィスキーかよっっっ!!!」

 というわけでこの「小城」、焼酎なのにシェリー樽で熟成をさせているという一風変わった一品だ。熟成の樽にシェリーを使うのは有名どころではマッカランがそこにこだわり続けているようにモルトの世界では珍しいことではない。だが、焼酎の世界ではさすがに珍しい。瓶で貯蔵することがほとんどで、他の酒が一度寝かされた樽を使用して貯蔵することなど焼酎の世界ではまず考えられない。どうでもいいけれど熟成に使っているシェリー樽、一体何処から仕入れているのだろう・・・? まぁともあれ、モルトも麦、そしてこの小城も麦焼酎。当然のことながら「モルトウィスキーみたいな味わいがするんだろうなぁ」という想像が成り立つ。というわけで、何はともあれ実際飲んでみた。

 色は薄く明るい琥珀色。若いモルトウィスキーを連想させる色合いだが、焼酎としてはここまで色が着いているのはやはり少し珍しい。非常に柔らかで丸い香りの奥にはやはり、麦焼酎というよりはスペイサイドのモルトを彷彿とさせる華やかな甘みが隠れている。味も非常に繊細できめ細かく、「焼酎」という響きが持つ荒々しさは微塵も感じられない。焼酎というのは基本的には甘い酒ではないので、甘みと言っても普通は余韻の中に米や麦、芋といった原材料に由来する甘みがほのかに感じられる程度のものなのだが、この小城に関しては口当たりからしてほんのりと甘みが感じられる。おそらくシェリーに由来するものであろう、微かに果実的な甘み。とはいえ明らかに「甘い」というほどのものではない。微かですっきりとした春風のような印象。焼酎としては確かに甘口の部類だろうが、飽きがこない。実にいいバランスを持っている。飲み方はやっぱりロックがお薦め。最近はお湯割りもおいしくいただけるようになってきたけれど、この小城はロックが一番似合うと思う。華やかな甘さに一本張りが出るし、氷に負けない芯の強さもある。

 製造元の天山酒造は焼酎よりは日本酒の蔵元として有名。佐賀県の小京都小城に蔵をかまえ、その蔵は国の有形文化財にも指定されている。全国桜百選にも名を連ねる小城公園、全国棚田百選及び農村景観百選指定の江里山地区等、とかく自然に恵まれたこの土地は、やはり水も素晴らしい。全国名水百選に選ばれた「清水の滝」が蔵の近くにあり、そこと同水系で蔵の前を流れる祇園川は天山山水系の清流であり源氏蛍発祥の地でもある。現在でも全国有数の蛍の名所であるこの川の水は、酒造りに悪影響を及ぼすと言われている鉄分が限りなく0に近い。そのような素晴らしい水を使って作られている酒がまずいわけはない。

 この「小城」も値段こそ1,100円と高くはないが、この価格からは想像もできないほどおいしい酒だ。なんというか、佐賀に行く度に思うのだけれど、佐賀県の人って商売っけがないからなぁ・・・。東京なら数倍の値段でも行けるくらいの商品やサービスを信じられないくらい安い値段で出してくる。しかも宣伝もする気がないらしく基本的に無名なまま。隠れた名品が意外に佐賀には多い。この小城もそんな隠れた逸品の一つだ。

2006年3月17日金曜日

仕事もバランス

 最近は少し早く帰れるようになってきた。早いと言っても21時半から22時くらいには会社を出れるかなくらいのものだが、23時から24時、下手すりゃ徹夜が日常的だった年明け2月中旬までに比べれば遥かにマシだ。そのせいか、最近はまた電車の中で本を読むようになってきた。2月中旬までの多忙を極めた時期は一応本は持って歩いてはいるものの、まったく開く気になれずにほとんど読まずにいたのだが。やはり余力がないと本を読むこともできないということだろう。

 冷静に考えれば、仕事というのは無くて暇でも能率が落ちるが(ただし私が暇な事はほぼ間違いなくない)、あまりに量が多すぎてもまた能率が落ちる。これに関しては色々と理屈を付けて説明することもできるが、まぁ要するにそういうことだ。すると仕事の量が多いのに能率が落ちるから当然仕事の時間が長くなる。仕事の時間が長くなると疲れがたまる。ストレスがたまる(仕事が好きならストレスなどたまらんというのは戯言である)。するとまた仕事の能率が落ちる。作業効率デフレスパイラルだ。こうなるともういわゆる"デスマーチ"が見えて来る。腹をくくらなければならない。

 仕事量が増えて臨界点に達すると作業効率が落ちるなら、実は結果として最大のスループットを得るためには闇雲に仕事量を増やせばいいというわけではなくなる。仕事量の調節というのはその意味で実は意外に大事だ。そして仕事量の臨界点を超えずに最大の作業効率を維持できる近辺では、実はまだ少し人にはゆとりがある。だから本が読めたり音楽が聴けたりする。するとうまくストレスも晴れたり知識を得たりして、作業効率を上げられる要因が増えてくる。何よりもまず、人生に疲れない。

 仕事を増やせば、仕事を長くやれば、結果としてのスループットは増大するという考えは、時代遅れのようでいて意外と根強い。実はことはそう単純でもないのだが。どうしてもという時に一気に短い期間全力以上の疾走で仕事を仕上げることはあるし、本当に必要な極稀な時であればあってもいいだろう。デマルコの言う"スプリント"というヤツだ。まぁでも基本的には普段は仕事量の臨界点を超えないようにした方が長い目で見たスループットは上がるし、人がすり減らない。口ではそう言っていても本心はそう思っていない人はまだまだ多いようだけれど。

 何にせよ仕事の調整ができるうちはいいけれど、問答無用で詰め込まれてしまったらもうどうにもならんのだけれどね。

2006年3月13日月曜日

節目として、始まりとして

 今日、冬から春に向けての三寒四温の"寒"に当たる冷たい風が吹き付ける中、二人で佐賀市役所に書類を提出しに行った。いわゆる入籍というヤツだ。手続き自体はびっくりするくらい簡単に終わる。書類を点検して、本人確認をして、2、3の注意事項を聞いて。ほんの10分程度。拍子抜けするくらいだ。何だか実感が湧かないものだ。正直あの10分で何かがそんなに大きく変わったとは思えない。でも確かにもう法律的には大きく変わったし(何しろ自分が戸籍の筆頭になるのだ)、きっと社会的にも大きく変わったし、やはり二人の関係や自分の在り方も大きく変わったのだろう。それに気付くのは、これからある程度時間をかけてじっくりと、なのかもしれない。

 薄い灰色の空の下、冷たい風に吹かれながら、佐賀城下雛祭りを見て回った。二年前にも、同じところを見て回った。旧古賀銀行の古びて大仰だけど落ち着いた雰囲気はやっぱりなかなか個人的には好きで、二年前に来た時にもそれぞれ写真を撮ったのと同じ場所で今回も写真を撮ってきた。比べてみると何か変わっているだろうか。入籍前と入籍後。やっぱり二年の時間分しか変わってないかもしれない。変わっていくのは、これからなのだろう。今日を一つの節目として、始まりとして。

2006年3月11日土曜日

一つの節目に飲む酒

 今日、この日に飲む一杯は、少し前から決めていた。特別な節目には、それなりの一杯が必要だ。今、目の前のテイスティング・グラスにはその一杯が注がれて、蓋をされたまま開けられるのを待っている。マッカランの18年、1985年ビンテージ。次の1986ビンテージからはラベルが新しくなったので、いわゆる旧ボトルのラスト・ビンテージだ。一年前のモルト福袋に入っていたこの一本、あまりにもったいなくて一年かけて減らしてきた。今日はこの一杯を楽しもう。これまでを振り返るように。これからを夢見るように。特別な節目には、それなりの一杯が必要だ。

2006年3月7日火曜日

ホワイト・アウト

 今朝私がいつもの通勤特急に乗って会社へ向かっている最中、それは突然やってきました。

 いつもの月曜の通勤特急。自由が丘でギュウギュウに人が詰め込まれ、車両の真ん中に立っているともう手も動かせずに、バランスを取るのも一苦労な満員電車。月曜の毎度の風景です。とはいえ今日は私は吊り革のところに立っていたので、まだマシな方でした。が、突然それはやってきました。そう、強烈な吐き気です。

 立っていると突然何の前触れもなしに強烈な吐き気に襲われます。朝食もとっていない空っぽの胃が蠕動し、軽い嗚咽が何度か出ます。それと同時に来る目眩。目の前の景色が暗くぼやけていきます。冷や汗がどっと出て、まるで炎天下をスーツで歩いた後かのように中のTシャツが濡れていきます。それに引きずられるように動悸・息切れが始まり、一気に意識が飛びそうになりました。とはいえそこは月曜朝の満員電車。いくら立っているのが辛くとも、座り込むようなスペースなどあるはずもありません。必死で吐き気と目眩と戦いながら、座席のパイプをつかんでギリギリ一杯で立っていました。早く次の駅に着け、と。

 ところがそこが通勤特急の罠で、この電車は自由が丘を出ると中目黒までは止まりません。自由が丘から駅を3つ飛ばして、やっと中目黒です。・・・非常に長く感じました。中目黒でフラフラの状態で人の波に押してもらうような状態で電車から降りると、今度はすぐにキーン・・・と耳鳴りがしてきます。そしてさっきまで暗くなっていった視界が、今度はすーっと白一色に反転していきます。ホワイト・アウトです。ああ、こりゃ倒れるなと思った私は、近くのエレベーターの柱のところにへたりこみ、そのまま2本ばかり電車を見送ってから真っ白な顔で再び会社に向かったとのことです。あー、危なかった・・・。そういや一年程前にもこんなことあったな・・・。

2006年3月6日月曜日

スランプ

 最近はどうも家にいると何かをしようという気が起きない。平日帰宅してからもそうだし、特に予定のない休日ならなおさらだ。疲れていると一言で片付ける事もできるが、どうも納得がいかない。何しろこの日記を更新するのにもちょっとした決意がいる始末。先日も書きかけの日記を下書きのまま、仕上げる事もせずにそのまま寝てしまった。よろしくない。とりあえず、リハビリの意味でシングルモルトのカテゴリーを更新してみる。ああいったレビューは書く対象が絞れているので書きやすい。それほど考えをまとめなくても書くべき事は自分の外にあるわけだから、そりゃ当然だ。対して、自分の中から何かを出す事は大きなエネルギーを使う。最近はそのエネルギーがないのか、あるいはそのエネルギーを使うのがめんどくさいのか、とにかく出力というものがおっくうだ。スランプなのかもしれない。書くべき事はたくさんあるように思うのだが。

Macallan - マッカラン14年 ザ・ゴールデン・カスク






マッカラン
Distillery : Macallan

Years : distilled in May 1991 and bottled in June 2005, aged 14 years

Area : Speyside

Bottler : The Golden Cask

Cask Type : Unknown

Product : 56% vol, 700ml

Price : 4,980yen

Remarks :


 1つ前に紹介したシグナトリーのマッカランと同じ14年もののボトラー違いという事で、飲み比べという意味で敢えて立て続けにマッカランを。こちらはマクダフ蒸留所のオーナーの個人的なストックをジョン・マクドゥーガル氏が選別したという、比較的最近出て来たブランド『The Golden Cask』。このボトラーも先のロングモーンに続き2本目なので、そちらとの比較も楽しみです。

 色は先のシグナトリーよりも少し色が濃いものの、オフィシャルの濃いアンバーとはやはり明らかに違う透き通った琥珀色。色だけを見ていると先の同じGolden Caskのロングモーンとほとんど見分けがつかない、見るからに華やかな色合いです。マッカランに限らずウィスキーというのはあまりに色が薄すぎると私は「ん~、これホントにおいしいのかな?」と心配になってしまうのですが、これはそんな心配もさせないほどよい色合いです。

 56%と度数が高いこともあってか、マッカランにしては非常に揮発性の強い香り。オフィシャルの落ち着いた甘みのある香りと比べると、華やかさと爽やかさが前面に出て来て少し軽くなった印象です。マッカラン特有の蜜のような濃密な香りは息をひそめ、爽やかな甘さと夏草のような香りが広がります。よく確かめると確かにマッカランなのですが、ちょっと確かめただけではむしろグレンキンチーじゃないかとすら思うような、ちょっとライトな香りです。シグナトリーのアンチルフィルタード・コレクションに関しては「樽から来る木の香りの印象が強い」のが特徴のように思えるとかいたのですが、このThe Golden Caskシリーズは明るく華やかな香りに最大の特徴があるように思います。

 口に含むと度数が高いことも大きく起因しているのでしょうが、結構刺激が舌につきます。一瞬強い刺激とともに甘みが広がってすぐにすっとその甘みが消えて麦の味わいに変わり、あまり長くない余韻を残して消えて行く感じ。非常に上質な甘みが隠れている気はするのですが、どうにも刺激が強すぎてあまりいい面が前面に出て来てくれないのです。とりあえずこれは度数が強すぎるのが問題なんだなと思い、少し水で割ってみました。そうすると嫌な刺激はさすがに丸くなり、やっと奥に隠れた優しい麦の甘みと爽やかな夏草のような後味が表に出て来てくれます。なかなか個性の強いマッカラン。マッカランはスペイサイドのモルトですが、それよりはちょっとローランドモルトよりの香り・味わいを持っているような気がします。しかも度数が高いせいか、本質的に非常に明るく華やかな性格を持ったモルトなのに、一点刺激の角が舌につく。これはちょっとばかり水で割って飲んだ方がおいしいかもしれません。

 最後になりますが、私が手にしたボトルは644本中616本目でした。