2006年12月17日日曜日

ベートーベンの誕生日

 今朝起き抜けに妻から聞かされて知ったのだが、今日はベートーベンの誕生日らしい。ので、そこに敬意を表して、先にも書いたように基本的に編成の大きな音楽をあまり好まない私は普段はそんなに積極的にベートーベンはかけないのだが、今日はひたすら意識してベートーベンを聴いていた。自分からはそんなに聴かないベートーベンではあるが、父はベートーベンが大好きなので、幼い頃からよく父の部屋から流れてくる音楽は聴いていたせいか、やはり自分でも好きな曲やCDはある。せっかくなので、今日は私が好きなベートーベンを、独断と偏見でご紹介してみようと思う。

 まずはやはりカルロス・クライバー指揮 ウィーンフィル演奏のシンフォニー5番&7番。『運命』と7番の組み合わせ。今さら説明不要な曲・演奏だが、やはりよい。実に力強いエネルギーの躍動は聴いている者を問答無用で曲の世界に引きずり込まれていく。何しろこの演奏を聴いただけで私はすっかりC.クライバーの虜になってしまった。ぎぃ助達の世代のクラギタから『こうもり序曲』の編曲を頼まれた時も、音源のサンプルには迷わずC.クライバー指揮のものを選んだものだ。是非とも一度生で聴いてみたかった指揮者だ。ちなみに、リンク先のCDはJ.シュトラウスの作品集オムニバスだが、一枚目のワルツ、ポルカ、マーチ集ではカラヤン、アバド、ベームら名指揮者がウィーンフィルを振った演奏で、2枚目の『喜歌劇<<こうもり>>(抜粋)』はすべてC.クライバー指揮の演奏。ユニバーサル・クラシックが出しているこのオムニバス・シリーズ『パノラマ』は著名な名演をまとめて安価で楽しめるので、なかなかお買い得だ。他にも例えばラフマニノフの作品集とかドビュッシーの作品集ショスタコーヴィチの作品集等、色々出ている。一枚1,500円と安価にクオリティの高い演奏で各々の作曲家の代表曲に触れられるので、「この作曲家はどんな曲を書いているんだろう?」と興味を持った時なんかにお薦めのシリーズだ。

 次はこのCD。ジョージ・セル指揮 クリーヴランド・オーケストラ演奏の交響曲第3番『英雄』。以前の日記で紹介した際は『英雄』のCDとして紹介したし、実際このCDのメイントラックはやはり『英雄』だが、一番聴いてほしいのは実は『エグモント序曲』。というか、実は曲としては『英雄』は特別好きではない。この『エグモント序曲』は私の大のお気に入りの曲で、学生時代に(演奏する当てもないのに)ギター合奏に編曲しようとして総譜までは購入したというくらい思い入れの深い曲だ。ちなみに、編曲は結局完成しなかった。このCDでのセルの演奏は、イントロを聴いた瞬間「うおっ、重いな!」と思った。実に、重い。重いが、実直で、堅実で、それでいて情熱に満ちた演奏はさすがジョージ・セル。彼も好きな指揮者の一人だ。

 そして『エグモント序曲』と言えば、あまり知られていないが実はこれには弦楽四重奏版の編曲がある。しかもC.F.エバースというベートーベンと同時代の人物による編曲で、一説によるとベートーベン公認の下での編曲だったらしい。C.F.エバースは他にも交響曲5番、7番、8番や様々な序曲を弦楽重奏に編曲している。その弦楽重奏版の交響曲7番と『エグモント序曲』が聴けるのがこのCDだ。これも、お薦めのCDの一つ。ちなみに、このCDで演奏しているプロ・アルテ・アンティクア・プラハは、他に同じくC.F.エバース編の交響曲5番と8番の弦楽五重奏版も録音している。

 そして曲として大好きなのは弦楽四重奏第11番『セリオーソ』。いきなり迫力あるスケールから切り込んでくるこの曲は、その激しい音列が紡ぐ深く重い情熱と、最終楽章で奏でられる暗い熱を帯びならがも実に官能的で美しい旋律が素晴らしい傑作と思う。個人的には同じ弦楽四重奏の中でももっと有名なラズモフスキー3部作よりもこっちの方が好きだ。お薦めの演奏はやはりアルバンベルク・クァルテットスメタナ・クァルテットのものか。まぁ、どちらも世間一般に評価の高い盤だけど(苦笑)。

 というわけで、今日はこれらのCDを聴きながら夜を過ごしている。たまにはベートーベン尽くしもいいものだ。


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