2008年1月28日月曜日

最近のBGM

 子供が眠くてぐずっている時、よくBGMを流して落ち着かせながら寝かしつけをしている。最近よくかけるのは以前にも紹介したNigel Northが弾いている『Bach on Lute Volume. 3』、セルシェルの『eleven-string baroque』、そしてKeith Jarrettが弾くBachの『ゴールドベルグ変奏曲』辺り。特に最後のキース・ジャレットのゴールドベルグは最近よくかけている。

 たとえば、『eleven-string baroque』はまだ陽が出ている夕方がいい。今日のような静かでよく晴れた夕方に、セルシェルの素直に澄んだ音色でヴァイスの『パッサカリア』の暖かいイントロが流れてくるとホッとする。私自身が小さい頃、ウチの親はよくグールドの弾く『ゴールドベルグ変奏曲(1955年録音の方)』で寝かしつけていたそうだが(私の生まれは1977年。グールドの晩年のゴールドベルグ変奏曲の録音は1981年なので、私が赤ちゃんの頃にはまだない)、私は同じ曲でキース・ジャレットの演奏のものを選んでいる。キースの盤はチェンバロで演奏されていて、清流のようなその透明感のあるきらびやかと静謐さ、木漏れ日でできた日だまりのような暖かさが気に入っている。もちろんグールドの演奏も素晴らしいし、どちらも比べてどちらがよいというような次元は突き抜けた素晴らしい演奏を聴かせてくれている。ただ、子供の夢見がいいのは刺激的なグールドよりキース・ジャレットかな、と思ったわけだ。この演奏は八ケ岳高原音楽堂でのライブ録音だそうだが、その美しい自然のイメージが喚起されるような、爽やかでゆったりと滑らかな、実に素晴らしい演奏だと思う。というわけで、最近はこの盤をよくBGMに利用している。

 ちなみに、やっぱり一番ぐずりが落ち着くのはやはりNigel Northのリュート版無伴奏チェロ組曲のようなのだが。

2008年1月21日月曜日

燕は再び飛んだ

 1月17日付けの日経新聞で、『燕は再び飛んだ』というタイトルの記事が掲載されていた。年が明けてから一面に連載されている『YEN漂流』というコラムで、割と楽しみに毎朝読んでいる。17日の朝も日経新聞を手に取り、まずこのコラムのタイトルを確認した。そのタイトルを見た時、「燕ってまさかあの燕かねぇ」とすぐに思ったのだが、直後に「iPod」の文字が目に入ったところで確信した。これは新潟県燕市についての記事だと。燕市は私が通った三条高校のある三条市のお隣で、私の実家がある旧白根市とは旧中之口村を間に挟んで車で15分程度の距離だ。洋食器の製造で世界的に名を馳せた街。小さな下請けの個人工場も多く、町並みを見る限りでは正直当時からもう一つパッとしない街だった。

 記事の内容は大雑把に以下の通り。輸出がメインの燕市は円高になるとその分為替差損で収益が減るため、円高局面になる度に「これ以上円高になればペンペン草がはえる」と言われる地域だ。その燕市がニクソン・ショックやプラザ合意といった円高危機を常に新たな需要を探し、技術を磨いて行くことで乗り切り、iPodの背面の鏡面ステンレスをその技術力をもって見事に仕上げてみせることで危機から飛躍へと進んで行くというものだ。記事では、iPodを扱う東陽理化学研究所以外にも同様に新しい技術の模索と確かな技術力の確立で世界を舞台に踏ん張ってきた燕市の企業達を紹介している。

 一読して、まず「地元もがんばってるなぁ」と素直に思った。特に米アップルがiPodの鏡面ステンレス仕上げについて「要求をすべて満たしてくれる世界ナンバーワン企業」と東陽理研を褒めちぎったというくだりはちょっと感動すらした。あの街でそこまで世界に認められる技術が育っていたのかと思い、そしてすぐ近くに住んでいて、当然燕に遊びに行くこともちょくちょくあったのに、そのことに今まで気付かなかったんだなぁとも思った。知識として、燕の技術力は世界レベルだということは知っていたが、それまでまったく実感はなかったのだ。身近なところに意外に見落としは多い。

 この記事は最後にこう結ばれている。

 困難に際し単に身をかがめたり、政府に助けを求めるだけでは競争力は高まらない。自らの技術を磨き、環境変化に遅れないよう不断の構造転換を進めた燕の経験は、日本経済と円が漂流を脱する大きなヒントになりそうだ。

 個人的には日本が誇る"ものづくり"は今後新興国の追い上げ圧力が強まって行く中、十年以上の長いスパンで見た場合には最終的には強みにならなくなってしまうか、少なくとも差はかなり縮まってくると思っている。なので、この記事の結びを単純に製造業に当てはめただけでは日本経済の漂流は止まらないというのが個人的な見解だ。製造業依存、輸出依存が強い今の構造自体を転換し、新しい強みを模索して構造転換を図ることができなければ日本は沈んで行くだろう。新しい強みとなれる分野や技術を探し、力を入れる産業分野のアロケーションから見直すほどの構造転換が必要になる。先日、大田経済財政相は「もはや日本は『経済は一流』と呼ばれるような状況ではなくなってしまった」と述べた。認識が遅い気もするが、認識がないよりはいい。燕は確かな技術力と変化を恐れない構造転換で再び飛び立った。日本は、再び飛べる日が来るのだろうか。


2008年1月15日火曜日

Mac不調

 私のMacの調子が最近おかしい。原因は明白で、OSを10.3(Panther)から10.5(Leoaprd)にアップグレードしたためだ。実は結構色々困っている。例えば、アップデート後にAirMacカードを認識しなくなり、無線LANが使えなくなった。これはLeoaprdを再度上書きでインストールすることにより解決できた。

 ところが、次はソフトウェア・アップデートを行おうとした際に管理者パスワードを入力しても「それは管理者じゃない」と弾かれるようになった。調べてみるとLeopardを二回以上アップデートした場合に発生するバグだそうで、私は今回まんまとそれにはまったことになる。仕方がないのでリンク先で説明されている通りOSのDVDからrootユーザーを解放し、root権限で元のユーザを管理ユーザーに戻してあげることでなんとか回避できた。

 しかし、いまだにアップデート後にiPhotoが起動しなくなったという問題が解決できていない。おかげで簡単な画像加工ができないので、BLOGに使う写真の作成ができずに困っている。本来であればこの連休でウチに来た新入りの金魚を写真付きで紹介する記事を書きたいところなのだが。iPhotoはどうやらインストールされた状態のままOSをアップデートするとアプリケーション自体はアップデートされないらしいので、その絡みで元々Pantherで動いていたiPhotoはLeopardでは動かないんだろうなというのは想像に難くないのだが。一度削除して入れ直せばいいらしいのだが、LeopardのインストーラのカスタムインストールではどうやらiPhotoのみのインストールができないらしいのが面倒くさい。せっかくOS再構成後パッチ等を当て直した作業をまたやるのはちょっと億劫だ。何とかカスタムインストールする方法ないかなぁ、と思っている。

 どうやらOSは10.3、ハードはPowerBook G4と、ハード/ソフト両面で二世代以上前に当たる私のマシンの環境からは、Leopardにアップデートしたことで色々と問題が発生してしまっているようです。ふう、やれやれ。

2008年1月8日火曜日

新年抱負

 少々遅まきになりましたが、新しい年がやってきました。今年は喪中故に対外的には粛々と、しかし娘の存在が親戚連中を盛り上げてその意味では温かに、年始の時を過ごしておりました。

 さて、去年の総括は前の記事で行いましたが、では今年はどうするか。願わくば、決意の年にしたいと思います。私が遅すぎたスタンス・ドットを嘆いてから、そこからですら既に2年が過ぎ去ってしまいました。私は、顔を上げなければなりません。少なくとも、まずその立ち位置を確認するために。次に、周囲の状況を見渡すために。そして、進むべき方向を見定めるために。それには、決意が必要です。勇気と無謀を取り違えない冷静さを保ちつつなお、その冷静さを諦観で終わらせないために。