2010年1月11日月曜日

ラーメン激戦区 日吉

 随分前から日吉のラーメン屋についてはずっと書こうと思っていた。思っていたが、「あのラーメンをもう一度食べてから書こう」とか「あの新しいラーメン屋を食べてみてから書こう」とか考えていたらずっと書けずじまいだった。もうこの日吉にいるのも後一月もなくなってしまったので、意を決して重い腰を上げて書くことにする。

 日吉という場所は広さの割りにラーメン屋が多く、そしてそのレベルが高い。ラーメン好きな友人が遊びに来た時なんかは何件か連れて回るが、やはりそのレベルの高さに皆驚くし、日吉を知る人でもやはりここのラーメン屋は美味しい店が多いと感じている人が多いようだ。

 日吉のラーメンと言えばやはりまずは「らすた」。鶏がらと豚骨をベースとした非常に濃厚でなスープに、染谷製麺の黄色い極太平打麺がトレードマークの日吉の老舗。大雑把に言って瀬油系豚骨醤油と言えなくもないし、実際その系譜の横浜家系の流れに数えられることもあるようだが、らすたは横浜家系とはちょっと違った独自の味わいを持っていると思う。第一に家系はスープに豚骨の臭みを敢えて残し、野趣溢れるワイルドな味わいを出してくるが、らすたのスープは臭みはほとんど残さず、乾物等のダシが効いた旨みの奥行きがあるものになっている。それに加えて、もはや麺そのものがご飯のおかずになるくらい極太で味のあるあの麺は、他のラーメン屋にはない唯一無二のものがある。最近は数年前にできた横浜家系ラーメンの武蔵家に押されて一時期ほどの人気はないようだが、やはり個人的には日吉のラーメンと言えばまずらすただ。後半戦にはニンニクと豆板醤を入れて空気を変えて、最後まで美味しくいただける。

 というわけで最近らすたと人気が逆転し、いつも行列ができているのが横浜家系「武蔵家」。味は正統派の横浜家系豚骨醤油。博多の白湯スープと違い、豚骨の臭みを残したこってりとパンチのあるスープ。これは個人の好みの話になるが、家系の豚骨のインパクトと背脂の旨みに極端に重きを置いたスープは実はそれほど得意じゃない。半分までは、実に美味しくいただけるのだが。この武蔵家は良くも悪くも正統派の家系で、家系の中でもこってり加減や味わいは丁度中程度。パンチの効いた豚骨醤油が食べたいときはよい。今みたいに常に並ぶようになってからは行ってないけど、空いてた頃より美味しくなったんだろうか?変わってなければ、家系としてはスープにコクが足りない印象もあったのだが。

 ちなみに日吉には武蔵家の他に家系ラーメンがもう一件ある。批判はあまりしたくないので、あまり書かないが、そちらはあまり美味しくない。

 さらに日吉で忘れてはならないのが「日吉家」。家がついてるから家系かと思いきや味も資本も全然違う。ここは豚骨全盛、こってり万歳の昨今のラーメンの風潮に真っ向から背を向けて、化学調味料を一切使わずに丁寧に鶏がらベースで仕上げたスープを使って実に美味しい醤油ラーメンを食べさせてくれる店。最近は本当に美味しい醤油ラーメンを食べさせてくれる店が少なくなったが、ここの醤油ラーメンはあっさりしていながらダシの旨みがしっかりと備わっており、それが細いちぢれ麺に絡んで実に落ち着いた味わいを提供してくれる。個人的には日吉でもお気に入りの店の一つ。アットホームな店の雰囲気もよい。ただし閉店時間がちと早いので、会社帰りや飲み帰りにはもう閉まってしまっている。休日のランチにお薦め。また、再度メニューであるラーメンのスープを使って作ったカレー丼も絶品。

 そしてもう一つ忘れてはならないのが「ハマトラ」。竹炭を麺に練りこんだという黒っぽい麺は、見た目的にもインパクト抜群。鶏塩そばやモロヘイヤを刻んだスタミナラーメン等、ここも豚骨・こってりの風潮とは一線を画した独自路線で美味しいラーメンを食べさせてくれる。ビールを頼むと突き出しにネギとチャーシューを和えたおつまみが出てくるが、これがまた美味しいのでここで食べるときはいつもビールを頼んでしまう。少々奥まったところに店があるが、隠れた個性的な名店。

 ちょっと前にできた「Ryu-ya」。開店当初は並んでいたのがあっという間に空くようになった(苦笑)。鶏がらと魚介をベースにバターを浮かせたスープは味があって実に美味しく、なかなかいいと思うのだが、多分ここが空いている理由はチャーシュー。チャーシューに変な臭いがする。せっかくラーメンは美味しいのに、あのチャーシューを口にするとしばらく嫌な臭いが口に残ってラーメンが美味しくなくなる。大学生が多いこの日吉ではチャーシューを楽しみにラーメンを食べる人も多いだろう。せっかくラーメンは他に負けないくらい美味しいのに、あのチャーシューがすべてをダメにしている。ちなみに私はここではチャーシューは残す。食べない。だって食べるとラーメンが美味しくなくなるから。ラーメンは美味しい。野菜大盛りラーメンがお薦め。

 今はもう無くなったが、以前は日吉にも「よってこ屋」があった。チェーン系のラーメンだが、このラーメンもなかなか美味しくてよく通っていた。塩とんこつとか大好きだったし、餃子も美味しかった。両親もここがお気に入りで、日吉に来ると好んで食べていたものだ。だからよってこ屋がなくなったと知らせるとウチの両親は「あんなに美味しい店が?」と驚いていたものだ。チェーン店だから例えば綱島等に行けば今でも食べられるが、どうやら日吉店は接客面であまり評判がよくなかったらしい。ふむ。

 そして最後に日吉で絶対忘れていはいけないのが、厳密に言うとラーメンではないが、つけ麺「あびすけ」。とんこつと魚介のダシをこれでもかという程濃厚に抽出したスープはインパクト抜群。最近乱立する割にクオリティに疑問の多いつけ麺というジャンルの中で、圧倒的に強烈なインパクトと美味しさを持っている。渋谷の会社の近くにいつも行列ができているつけ麺有名店があるが、そこですらこのあびすけと比べるとスープのクオリティが低くて稚拙に感じる。飲んだ帰りにここでつけ麺を食べ、最後にスープ割で余韻を楽しむという至福が、日吉から引っ越すと味わえなくなるというのは残念でならない。とにかく日吉にくるなら食べてみることをお薦めする。通常のつけ麺の他、カレーつけ麺も美味しい。

 ・・・と、ここまで長くなるくらい日吉にはラーメン店が多いし、またそのクオリティが高い。正直ここで出した店はどれでも、他の地域であれば目立った有名店になれるはずだ。日吉から去ることで惜しいことの最も大きな一つは、これらのラーメンがもう(そう簡単には)食べられなくなるということだ。とりあえず、引っ越す前にお気に入りのラーメン達をせめてもう一回くらいずつ、食べて回るとしよう。

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