2019年11月29日金曜日

昼食とチーム内コミュニケーション

大学時代から、昼飯は1人で食べるのが当たり前だった。授業、バイト、部活でなかなか時間の切り貼りが忙しく、人と時間を合わせるのがめんどくさかったのもあり、誰かと一緒にいることで気を遣うのが煩わしかった思いもあり、いつしか隙間時間で1人で昼食を食べることが多くなっていた。

社会人になってもその習慣は変わらず、最初の2~3年ほどは先輩や同期が誘ってくれるので一緒に昼食に行ってはいたが、何年か経って自分が1人で仕事をこなす機会が多くなり、さらには自分自身がリーダーとして案件を持つようになってからはまた仕事の合間の都合のいい時間に、誰に声をかけるでもなく1人でフラッと昼食に行くのがいつものことになっていた。

SE時代、後半は案件ごとに何人かのチームを組んで仕事に当たることが多かった。営業等は除いて単純に開発のチームで見ると、大体は自分リーダーで3人~5人くらい。正社員だけで構成されることはほとんどなくて、いつも半分程度かそれ以上は派遣さんをお願いすることになる。ある時、自分のチームとしては割と大きめの案件を振られて、10人近い所帯で開発チームを組んで担当することになり、半分以上は派遣さんをお願いして人員をそろえることになった。その時も自分はいつものように、昼食は1人でいい時にフラッと出かけるスタイル。もちろんそれ以外の仕事時はチームメンバーと必要に応じたコミュニケーションはしていたつもりだし、雑談や息抜きも自分は否定することはほとんどなかった(これはいつも大体真面目なメンバーに恵まれたおかげもある)ので、時には休憩がてら仕事以外の話もしながら、チームの輪はうまく保てているとなんとなく思っていた。そして案件自体はいつものように多少のすったもんだはありつつも何とか無事に納品・検収を終え、じゃあちょっと打ち上げでもやろうかとみんなで飲みに行くことになった。その時、飲み会の最中は案件の苦労話やら、何故だか覚えてるのは10歳年上の彼女はアリかナシかみたいな話で盛り上がったりしたのだけど(当時自分は20代後半)、最後の方だんだんぶっちゃけ話になってきた頃合いにある派遣さんからこんなことを言われた。

「あゆむさんは正社員と派遣社員の区別は特にしていないって言ってましたけど、逆に自分は物凄くその違いを感じていたんですよ」

またそれが普段から明るくて豪放なタイプの人から言われたのでとても意外性が強くて、飲み会後半のもう酔いも回ってきた頃合いにいきなり目が覚めるほどの衝撃を受けたのを覚えている。一体何がその違いを感じさせていたのか。自分は仕事を割り振る時はもう完全に社員か派遣かは考えてなくて、人を見て適材適所で割り振りしていたつもりだし、誓って「社員は派遣より上だ」と思ってはいなかったし、チーム内のコミュニケーション的にも社員と派遣を分けた連絡体制を取るみたいなことはしていなかった(リーダーによってはそういう社員と派遣を連絡体制上から分ける人もいる)。で、何が悪かったのかなと考えた時に思い当たったのが、仕事ではなくむしろ雑談等の業務外のコミュニケーションだった。業務上の連絡は自分は社員と派遣は一切分けていなかったし、「これは派遣は知らなくていい」というような情報分断はむしろ作らないようにしていたのだけど、普段の業務外の雑談は、特に意識はしていなかったのだけど、意識をしていなかった故にというべきか、ずっと一緒にやってる社員との会話が確かに明らかに多いという点に思い当たった。そうすると自分が社員のチームメンバーと楽し気に話している間、派遣さんは黙々とPCに向かうことになる。もちろん逆のシチュエーションもあるわけだけど、頻度的にはやはり社員同士で盛り上がってるケースが多かった。しかもリーダーの自分は1人でフラッと昼食に行ってしまうせいか、派遣さん同士も特に一緒に行くこともなく1人ずつ昼食に出かける。こうなるとチーム内で楽しくコミュニケーションという機会は、特に派遣さんはかなり少なかったんだなと反省することになった。

次の案件から、1人で昼食へはできるだけ行かないようにした。社員は社員で仲のいい相手と一緒に行くので、派遣さんを誘うようにして。気楽な1人の時間はなくなったし、昼食時間にいつもしていた読書の時間もなくなった。自分にとって他の人と食事をすることは基本的には気を遣うことなのでリラックスできる時間でもなくなった。けれどできるだけ派遣さんにも疎外感を感じてほしくなかったし、またそれがお互いのコミュニケーションから、ひいては信頼にもつながって仕事にいいフィードバックがあるだろうと、その点は気をつけるようになった。実際にどの程度意図した効果があったかはわからない。もしかしたら自己満足だったかもしれない。自分が派遣さんを誘って昼食に行ったからといって、相手が内心それを快く思っていたかどうかはわからないわけだから。

リーダーシップと協調性というキーワードを目にして、思い出したのがこのエピソードだった。自分はうまくリーダーシップと協調性を実現できていたのだろうか?今は、どうだろうか???

まったくの余談。当時自分が派遣さんの採用可否を決める面談をする際に、最後必ずしていた質問がある。それが「読書は好きですか?最近読んだ本は?」というもの。技術書でも小説でもなんでもいいけれど、文章を読む力はプログラムを読む力だという思いからいつも聞いていた。本を読む習慣がある人なら自分の長いメールも読んでくれるだろうし。途中からは派遣会社の仲介担当さんもわかってきて、自分が担当だとわかるともう最初からちゃんとその質問に答えられる人を紹介してくれるようになった。こんなエピソードなんてもう他に書き残しておく機会もないだろうから、派遣さんというキーワードが出てきた今回に余談として…。

2019年3月15日金曜日

春の虚空

一人で店番をする。春の気まぐれな天気の隙間に出てきた晴れ。訪れるお客もない部屋を、エアコンの稼働音のザラっとしたホワイトノイズが包み込む。薄膜が張ったような空気の中で、何かを考え続けているような、考えるふりでただ時間が過ぎるのを待っているような。

視線を落とせ。視線を落とせ。向き合うべきものはもうわかっている。

視線を落とせ。視線を落とせ。向き合うべきものはもうわかっている。