2007年6月23日土曜日

降臨前夜

 明日、とうとう妻と赤ちゃんが横浜に帰ってくる。赤ちゃんの方は「帰ってくる」というよりは「やって来る」という感じだが。そんな時期にタイミング悪く仕事は妙に忙しく、深夜に慌てて色々片付けやら何やらやっている。慌ただしいなりに静かな夜も今日で終わる。明日からはきっと賑やかで、時にうるさいくらいの日々が始まるのだろう。楽しみなような、不安なような、愛おしいような、名残惜しいような。ともあれ確かに、変わっていくのだ。酒も飲まず、音楽も聴かず、ただ黙々と大量のグラスを洗って眠りにつく、最後の静かな夜。いつも通り、金魚は一匹ひっくり返る。

2007年6月16日土曜日

Bowmore - ボウモア15年 ハートブラザーズ






Hart Brothers ボウモア15年

Distillery : Bowmore

Years : distilled in May 1989 and bottled in July 2004, aged 15 years

Area : Islay

Bottler : Hart Brothres

Cask Type : Unknown

Product : 46% vol, 700ml

Price : -

Remarks : -


 突然だが、ボウモアには結構当たり外れがある。少なくとも、私はそう思う。おいしいボウモアはとてもおいしいが、どうも香りに妙なひねりが強すぎたりして、ちょっと首をひねりたくなるボウモアもある。それは気分や日によって違う(気温の違いのせい?)微妙な香りの立ち方でも変わってくるのだが、意外にオフィシャルのボウモアには外れが多い気がする。逆に言うと、当たりはボトラーズものに多い。このハートブラザーズのボウモアは、そんなおいしい当たりの一つだ。

 色は明るい黄金色。だが、どうもボウモアは全般的にそのような気がするのだが、何だか少しばかり色は暗く淀んでいる。密かに陰を背負った明るい黄金色だ。ほんの少し、微妙に濁っているのだ。言葉では表しにくい。そして香りはボウモアらしく落ち着いている。もちろんアイラモルトなのでアイラらしいピートの香りはする。だが、長熟のボウモアにあるようなしっとりとした落ち着きが感じられる香りだ。ムッと広がる強烈なアイラの薬臭さではなく、グラスの底でゆったりとたゆたう穏やかな海の香り。華やかではないし、刺激的でもないが、適度にしっとりと落ち着いた潮と煙と薬品の香り。実にいい。口に含むとボウモアとしては珍しくまず麦の甘みが前面に出てくる。だから初めて飲んだ時はボウモアのくせに妙に甘いモルトだと思った。そして一口目の口当たりはアイラらしくないマイルドさも感じられる。ところが喉を通るとその第一印象がスッと消えて行き、今度はピリピリとしたスパイシーな後味が長く口の中に残り、甘みが消えて行くのに反比例してモルト侍が「ダシ」と形容している旨味が浮かび上がってくる。その味わいの移り変わりが非常に心地よく、じっくりと飲みたくなるモルトだ。シェリー樽で余計な味や香りがついていない分、ボウモア自身の持つ良さが非常によくわかるボトリングだと思う。

 私が家で飲むアイラとしてボウモアを好むのは、決して押し付けがましくないがかといって弱々しくもなく、落ち着きと刺激、甘みと旨味のバランスが絶妙に取れているからだ。バーではよくアードベッグも頼むが、家ではあれはちと辛い。ラフロイグも家で飲むならオフィシャルなら15年くらいこなれてきてないとやはり辛い。ボウモアか、意外にブルイックラディ辺りが結構いける。このボウモアはそんな私のストライクゾーンのど真ん中に入った、非常にバランスのいいモルトだ。落ち着いた刺激を伴う香り、甘みから旨味へと遷移する味わい、どちらも素晴らしい。ピアソラなんかを聴きながら、少しかすれた辛酸のような、それでいてどこか優しさも感じられるこのアイラを楽しむのがいい。

 最後になったが、今回のボトラーのハートブラザーズは1988年操業。元ホワイト&マッカイのブレンダーであったアリステア・ハートとドナルド・ハートが兄弟で運営している。


2007年6月14日木曜日

PHS、故障

 それは月曜の朝のことだった。目が覚めて、いつものようにPHSのメールをチェックしようとした時のこと、確かに昨晩は電源が入っていたはずのPHSが切れていることに気が付いた。前の晩は珍しく充電しないまま放置していたので、電池が切れたかなと思いコンセントにつないで電源を入れた。いつものように電源が入り、Willcomのロゴが表示される。その直後のことだ。一瞬、画面が青く稲妻のようにビカッと光り、次の瞬間にはふっと事切れたように暗転していた。電源は、入っていない。何のことだかわからなかった。寝ぼけた頭で「PHSまでブルースクリーンかよ!」とツッコミを入れた。だが、何度試しても青い閃光の後にPHSは事切れる。電源は、入らない。

 とりあえず購入した店舗に持って行った。けれどそこでは手に負えない。Willcomストアに持って行ってくれと言われる。しかし渋谷から一番近いところでも新宿。まぁ遠くはないが、昼休みにちょっとというわけにはいかない。仕方がないので、とりあえずサポートに電話してみた。宅配業者が引き取りにくるというので、会社に来てくれるように頼む。そして今日、やっと故障した私のPHSは引き取られ、代替機が届けられた。丸二日間、PHSが使えなかったことになる。まぁ、静かと言えば静かだが、やはり不便なものだ。そしてそういう時に限ってやはり、急ぎで連絡が取りたい用事というのは出てくる。何にせよ、ずっとPHSを持ち続けて初めて修理が必要な程のトラブルに遭遇した。なかなか、面倒だ。

2007年6月11日月曜日

大掃除 - お迎え準備として






酒ラック この週末は大掃除の二日間でした。出産後、佐賀で経過観察をしている妻と娘は共に健康。特に娘は元気すぎてほとんど眠らずに母親をグロッキーにさせる程の実力者ぶり。私も抱き癖があってなかなか寝ない赤ちゃんだったそうですが、どうやらその路線を踏襲しているようです(苦笑)。というわけで、経過が順調なので今月末にでも妻と娘は横浜に帰ってくることとなり、さすがにまだまだ小さい赤ちゃんを今の荒れ果てた部屋に招き入れるのは気が引けるため、今回のこの大掃除となったわけです。




 引越の時程ではないですが、今回も大変でした。まず土曜日に溜まっていた新聞、雑誌等を整理し、食器を洗い、掃除機をかけ・・・。そして日曜は助っ人として参上してくれた両親と一緒に風呂場、便所、洗面を母親が、部屋の掃除と整理を私と父が受け持って、朝からバタバタと大掃除です。とりあえず、正月にIKEAで買って以来その40kgという重量に負けて一人では組み立てられなかった強化ガラス製のコレクションラックの組み立てに成功しました。そしてそれは私の部屋の酒ラックとして使われ、これまでバラバラとスチールラックに入れられていた酒瓶達がきれいにディスプレイされるようになったとのことです。写真はその様子。いやー、こうしてみると我ながらよく集めたものです。しかも結局全部は入りきらずに横の段ボールの中にも酒瓶入ってますからね。びっくりです(笑)。しかしまぁちょっときれいにディスプレイされたコレクション達を眺めて、私はご満悦だったわけです。

 そして部屋内のホコリや真菌類を制圧し、ちらかっていたものを整理して、大掃除にケリが付いたのはもう夕方五時くらいでした。三人掛かりで朝の八時から始めてです。いやー、疲れました。でもおかげでかなり部屋がきれいになりました。最後は窓や網戸まで掃除してましたからね・・・。これで後は来週細々としたものを買ってくれば一応妻と娘を迎えられる準備は万端でしょう。よしよし。

2007年6月4日月曜日

四十九日

 この週末は祖父の四十九日の法要のため新潟に帰省していた。金曜の深夜に帰宅し、今日の夕方に燕三条を出る、あまり落ち着いたとはいえない里帰りだった。まぁ、用事の内容からして当然といえば当然のことなのかもしれない。とはいえこれで、一旦は区切りがついたことになる。短いながらも色々と思うところもあった帰省なのだが、今回はセンチメンタルにも理屈っぽくにも前向きにも後ろ向きにもならず、一旦ここで指を止めよう。仕事が次の日に控えた深夜、焦って忙しなく物事を書きたい気分でもない。四十九日を終えると死者はこの世でもあの世でもない境界から、あの世の方へと渡って行くという。「いってらっしゃい」と言い、そしてまた、「いってきます」と言う。