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2010年2月4日木曜日

日吉最後の夜






GLENMORANGE SIGNET

 いよいよ今日が日吉での最後の夜になる。今日は引越の業者が来て一日梱包作業。明日に搬出を行い、同日に今住んでいる部屋の退去手続きを行い、新幹線で新潟に帰る。結婚してから4年住んだこの部屋ともお別れだ。賃貸住宅というのは一度引き払ってしまうと二度と部屋には入れないのが少し寂しい。新潟を出てからこれまでに住んだ部屋の中でも、今回のこの部屋はピカイチお気に入りだったのだが。目の前には小洒落た欧風の住宅街で治安もよく非常に静かだし、小さいが気の利いた公園が近くに4つもつながっている。この辺では一番高い丘の上に立っているので、ベランダからの景色は圧迫感がなく、眼下に広がる景色では遠くにランドマークタワーを始めとするみなとみならいのビル群が見えるし、春には桜がきれいに咲く。17畳の広いリビングにモザイク細工の床がきれいな書斎、何故か竹があるフローリングの寝室、そして無料の駐車場。駅からは歩くと遠いけど、車があれば川崎にも港北ニュータウンにも近いロケーション。実に気に入っていた。南向きのベランダからは、天気のいい日にはいつもきれいな夕焼けも見れた。




 とはいえ、引っ越すと決めた以上はいつかは最後の夜が来る。それがとうとう来たということだ。引越業者の梱包作業も終わり、夕飯を食べに日吉の街に下りた。選んだのは迷わずらすたのラーメン。やはり、日吉と言えばこのラーメンだ。ねぎめしと一緒においしくいただいた。そして最後に軽く2杯程度おいしいお酒が飲みたいなということで、久し振りに画亭瑠屋に行ってみた。ここで飲むものはとりあえず決まっている。グレンモーレンジだ。

 一杯目に先のテイスティング・セミナーの際に気に入ったキンタ・ルバンを頼む。グラスが出てきた瞬間にテーブルにふわっと広がる、華やかで花のような爽やかに甘い香りが嬉しい。ゆっくりと飲んで、「今日は次で最後だな」と思いボトルを物色していると、グレンモーレンジの列に知らないボトルがあることに気がついた。この日記の写真のボトルだ。何やら、明らかにただ者ではないオーラを漂わせている。マスターに聞いてみると、これはシグネットといい、グレンモーレンジが満を持してリリースしたハイエンドのモルトで、通常とは製法から異なり、最長30年の原酒が使われているという。そう聞くと、とても飲みたくなる。きっと値段も相当するんだろうなとちょっとためらったが、9年日吉で頑張った自分へのご褒美にこの一杯くらいの贅沢はいいだろうと自分を納得させ、思い切って頼んでみた。

 グラスに口を近づけた際に一瞬感じた、爽やかな青リンゴのような香りが凄く印象的だった。そしてその青リンゴのような香りから、どんどん別の複雑な香りに変化していき、それだけで口に含む前から期待が募る。そして喉を通る際の滑らかなテクスチャ、豊潤という言葉が似合う膨らみのあるボディ、後から鼻に抜けてくる香りの複雑さ。モルトやワインを語る言葉として"官能的な"という形容詞がよく使われるが、このモルトの魅力はまさにそう語るにふさわしい。モルトやワインを"官能的"と表現するのは実はあまり好きじゃないのだけれど。

 このSIGNET、ビル・ラムズデン博士の理想の一つしてリリースされたものの、製法は公開されておらず、謎や神秘性を強調した売り方をしているらしい。その中で、公に公開されている製法の秘密は以下の5つとなっているそうだ。

・グレンモーレンジの最も古く、最も希少なウイスキーをブレンド
・深焙りした「チョコレートモルト」を含む、希少な原料を使用
・グレンモーレンジが所有する単一畑のモルトを使用
・グレンモーレンジが特注したデザイナー・カスクで熟成した原酒を含む
・ノンチルフィルターで、アルコール度数46度

 それともう一つ、このモルトは同一の製法だが熟成年数の異なるモルトをヴァッテッドして作られているらしい。ということは、30年の原酒も使われているが10年か、あるいはもっと若い原酒も含まれているということ。それがこのシグネットの画期的なところだそうだが(といっても元々ブレンデット・ウィスキーはそういった作り方をする)、それがこのモルトの熟成されたテクスチャやボディに若々しく華やかな香りが同居する見事なバランスを生んでいるのではないかと感じた。実に魅力的なモルトだ。

 日吉の最後の夜にこの一杯に出会えたのはとても嬉しかった。これだからバーに行くというのは面白いのだ。この一杯をこの9年間のご褒美として、明日からはまた生まれ故郷新潟にて、心機一転頑張っていこうと思う。

 さよなら日吉。さよなら渋谷。またいつか。

2007年10月31日水曜日

グレンモーレンジ テイスティング・セミナー@画亭瑠屋 (2)

 さて、ちょっと間が空いてしまったがグレンモーレンジ テイスティング・セミナーの続きを書こうと思う。今回は新ラインアップのオリジナルの他、エクストラ・マチュアド3つをテイスティングできる。一つずつ感想を述べていこう。

 まずはラサンタ(LASANTA)。「LASANTA」はゲール語で温かさと情熱を意味するそうだ。また、発音の語感がスペイン語に近いこともシェリー樽熟成のこの製品の名称に使われる理由の一つだそうだ。旧シェリーウッド・フィニッシュだ。バーボン樽で10年熟成させた後にオロロソ・シェリー樽で2年の熟成を加えるという基本的な作り方自体は変わっていないが、利用するシェリー樽の品質が向上したことによる製品全体の底上げが期待できるとのこと。一般にシェリー樽熟成と言えばマッカランのような濃厚なアンバーを思い浮かべるが、グレンモーレンジのラサンタ(あるいは旧シェリーウッド・フィニッシュも)はそこまで濃いアンバーではない。むしろ落ち着いた琥珀色という印象だ。香りの方もオリジナルのような柑橘系の香りももちろん奥に潜んでいるのだが、やはりシェリーらしい甘いナッツのような香りが感じられる。セミナーで配布された資料では主にワインレッドからアンバーといった色でそのアロマの印象が表現されていた。とはいえそこはグレンモーレンジ。マッカランのようにフルボディでどっしりとした感じではなく、濃厚さとフレッシュさ、甘みとキレのバランスを取りながら、非常に上品な仕上がりを見せている。

 ただ、正直言うとこのラサンタ、今回の中では一番中途半端な印象だった。シェリー樽フィニッシュの割にはシェリーの印象が強くなく、何となく焦点がぼやけた感じが否めないのだ。まぁグレンモーレンジの身上には濃厚一辺倒のシェリー仕上げにするのは合わなかったんだろうなというのは想像に難くないが、それでももう一歩踏み込んだ濃厚さが欲しかったように思う。これはこれでバランスは確かにとれていていいのだけど。

 次はキンタ・ルバン(QUINTA RUBAN)。「QUINTA」はポルトガル語でブドウ園、「RUBAN」はゲール語でルビーだそうだ。旧ポートウッド・フィニッシュだ。これもバーボン樽10年の後にルビーポート樽で2年という作り方自体は変わっていない。が、このキンタ・ルバン、実際に見てみるとその色が実に特徴的だ。ポートルビー樽で熟成されているので本来当然と言えば当然なのだが、色が純粋なゴールドではなく、わずかに赤みがかったピンク・ゴールドになっている。ポートルビー樽でフィニッシュされたモルトは他にも色々あるが、実際にピンク・ゴールドの色彩をしているものは初めて見た。これは恐らくノンチルフィルターで色彩が落ちずにそのまま残っていることに起因しているのではないだろうか。香りは非常に揮発性が強く、むせかえるよう。カカオのような香りの中に落ち着いた甘みと、その奥にかすかに他のグレンモーレンジに通じる爽やかなテイストが見え隠れする。ポート・フィニッシュというと概して味わいはライトになりやすいものだが、これはしっかりとしたボディを持った、香り・味ともに飲み応えのあるモルトだ。そしてテクスチャは非常に滑らか。今回、このキンタ・ルバンは印象がよかった。

 そして最後、ネクター・ドール(NECTAR D'~OR)だ。「NECTAR」は神々が嗜む甘口の酒を意味し、「~OR」はゲール語とフランス語で黄金を意味する。旧ラインアップでは免税店等で限定的にリリースされていたソーテルヌウッド・フィニッシュ。文字通りソーテルヌ・ワインの樽で最後2年をフィニッシュしたものだ。これは旧ラインアップでも非常に評価が高く、正規ラインアップでのリリースが多く望まれていたそうで、今回待望の標準化となる。名称に"黄金"とわざわざ入れているだけあって、色は明るく透き通った黄金色。香りもトロンと甘い上品な蜜のような、実に魅惑的なものだった。口に含むとふわっと優しく広がる甘みが素晴らしい、上品で甘口なモルト。その意味ではモルトというよりブランデーに近いのかもしれない。なるほど、これは正規ラインアップへの追加を望まれるわけだと、飲んでみて実感した。確かに素晴らしくおいしい。一仕事終えて充実した疲れをゆっくりと噛み締めながら癒したい時などに、最上の一杯を提供してくれるだろうモルトだ。一番のお気に入りを回答する際、セミナー参加者も大多数がこのネクター・ドールを挙げていた。グレンモーレンジを飲み続けて25年の画亭瑠屋のマスターもこのネクター・ドールに(両手で)投票していた。これはモルトを飲みなれていない人にもお薦めできる、上品で滑らかな甘口のモルトだ。講師の方も言っていたが、なかなかこのような性格のモルトは存在しない。確かに。

 ところで話は少し変わるが、オリジナルはアーティザン・カスク熟成の原酒の比率が上がったというのなら、このエクストラ・マチュアドはどうなのか、気になるところだ。回答としては、やはりこのエクストラ・マチュアドにもアーティザン・カスク熟成の原酒は少々入っているらしい。ただし、その比率はオリジナルに比べるとかなり小さいとのこと。やはりそれぞれのフィニッシュ樽の個性を尊重したいこのシリーズでは、アーティザン・カスクの個性を出しすぎるのは控えたのだろうというのが私の解釈だ。

 もう一つアーティザン・カスクについて聞いた話では、グレンモーレンジ社は2008年分のアーティザン・カスクの発注を、これまでの約3倍に増やしたらしい。アーティザン・カスクを作成するための費用は通常の樽の数倍かかるが、これにはその投資の価値があると判断したそうだ。グレンモーレンジ社がMHD参加に入ったことのメリットの一つは巨大な資金力が得られたこと。ここではそのメリットが活かされた形になる。

 とするとだ。アーティザン・カスクが大量に作られて、新樽はまずバーボンの熟成に使われた後にモルトの熟成に帰ってくるので、実際に原酒が樽に入るのは2年後くらいになる。そこから熟成期間を考えると、2020年前後にはアーティザン・カスク熟成の原酒が大量に出来上がる。その頃には、もしかしたらアーティザン・カスク100%のモルトが正規ラインアップに乗ってくるのかもしれない。あるいは、もっと時を経て、18年等の長期熟成のアーティザン・カスクが出てくるのかもしれない。楽しみだ。今回のセミナーでも、一度アーティザン・カスクの話が出ると皆そこに食いついてアーティザン・カスクについての質問ばかり立て続けに出ていた。それほど、皆(私を含め)高く評価していて気になっているということなのだろう。おそるべし、アーティザン・カスク。

 というわけでグレンモーレンジの新ラインアップのテイスティング・セミナー、おいしく楽しんで色々と有益な情報も得られて、実に有意義な一時間半だった。MHDに買収され、売り方も急にブランド付いてきたが、肝心の中身はそのクオリティを上げてきている。以前と変わっているのは確かなので、古くからのグレンモーレンジ・ファンにはその変化を惜しむ向きもあろうが、個人的にはこの変化は悪くないのではないかなと思う。しっかりと、おいしいモルトを出してきてくれている。これからはグレンモーレンジを飲む機会も増えそうだ。


2007年10月28日日曜日

グレンモーレンジ テイスティング・セミナー@画亭瑠屋 (1)

 日吉に画亭瑠屋というバーがある。まだ3、4回しか行ったことはないのだが、今回そこでグレンモーレンジの正規輸入代理店であるヴーヴ・クリコ ジャパンの講師を迎えテイスティング・セミナーを行うという情報を聞きつけ、興味津々で申し込んで今日行って来た。そもそもグレンモーレンジは、2005年にMHD(ディアジオ・モネ・ヘネシー株式会社)の傘下に入っており、その際に日本での正規輸入代理店が同じMHD傘下であるヴーヴ・クリコ ジャパンになった。あの高級・高品質・高価格(爆)の有名シャンパン、ヴーヴ・クリコである。そしてそのMHDのブランディング戦略の影響もあり、先週からグレンモーレンジはラインアップを一新し、ラベルも中身もそれまでとはまったく変わった製品群を打ち出してきた。今回はその新ラインアップのお披露目というわけだ。

 セミナーでは当然グレンモーレンジの歴史や新ラインアップへの思い等も前置きとして色々と語られるわけだが、とりあえずは新旧のラインアップを比べてみよう。旧ラインアップはグレンモーレンジ10年を標準品とし、ウッドフィニッシュ・シリーズと呼ばれた4製品、シェリーウッドフィニッシュ、ポートウッドフィニッシュ、マディラウッドフィニッシュ、そしてバーガンディウッドフィニッシュ、18年、25年というものであった。新では、10年はグレンモーレンジ オリジナルという名称になり、ウッドフィニッシュ・シリーズはエクストラ・マチュードという名称に変更され、ラサンタ(旧シェリーウッド)、キンタ・ルパン(旧ポートウッド)、ネクター・ドール(旧では標準品ではないがソーテルヌウッドフィニッシュに相当)、18年、25年となる。名称をパッと見ただけで、相当変わったんだろうなというのは想像に難くない。

 ではまずは旧10年に相当するオリジナルから。ノージングした瞬間に感じられる、非常に明るく爽やかな柑橘系の香りが第一印象だ。正直、意外だった。グレンモーレンジは実は旧10年は飲んだことがないのだが(苦笑)、その他の製品の印象からはここまで爽やかな柑橘系のイメージがなかったからだ。聞くと、やはりこのオリジナルは10年の後継と言っても10年とは相当味わいが変わっているらしい。10年間バーボン樽熟成のみという手法自体は変わってないのだが、先にこのBLOGでも紹介したアーティザンカスク、あの樽を使った原酒の割合が相当増えているらしい。なるほど言われてみると、このオリジナルで感じられる華やかな柑橘系の香り、そこから感じられる明るい黄色のイメージはあのアーティザンカスクに近い。今日初めて知ったのだが、最近では旧10年でもあのアーティザンカスクで熟成された原酒がある程度入っているのだそうだ。それを初めて100%アーティザンカスク熟成の原酒のみで製品化したのが先の『グレンモーレンジ アーティザンカスク』だったということらしい。

 話は逸れるがこのアーティザンカスク、出してみたら非常に評価が高かったそうで、ヴーヴ・クリコの方に再発を希望する声が大量に届いているそうだ。そして今日もその魅力を知っている受講者数名から再発の要望が上がっていた。確かに、私も素晴らしく美味しいと思ってリピートしてしまったわけなので納得である。話が逸れたついでにもう少し書くと、アーティザンカスクの作成過程で、敢えて樽となる木材を2年もかけて自然乾燥させることにも意味があるそうだ。自然乾燥で樽を乾かすと、その途中過程で雨や風が木材をさらし、その木材の臭みやエグみというものを取ってくれる。それをまだ臭み・エグみが残っている段階で機械乾燥にかけてしまうと、木材に残っている歓迎できない臭みやエグみが残ったまま樽になってしまうので、当然原酒もその影響を受けると説明していた。アーティザンカスク、聞く程に恐ろしいこだわりようである。

 さて、オリジナルに話を戻すと、味わいの方は相変わらずグレンモーレンジらしい麦の風味をしっかりと感じられる質実剛健なものだった。そして何よりも非常に舌触りが滑らかだ。講師の方曰く、これは旧10年は43度で瓶詰めしていたものを、オリジナルは40度に下げたことに由来するとのこと。度数を下げることでアルコールの揮発性の強い刺激を下げ、香りを感じやすくし、そして刺激を抑えることで滑らかな舌触り、テクスチャを実現したとのこと。結果、このオリジナルは非常に華やかで飲みやすいモルトに仕上がっていた。アーティザンカスクで熟成された原酒の割合が増えたことで、全体的なクオリティの底上げも行われていることだろう。素直においしいモルトだ。

 さて次からはラサンタ、キンタ・ルパン、ネクター・ドールのエクストラ・マチュアド、つまりは旧ウッドフィニッシュ・シリーズということになる。このウッドフィニッシュはグレモーレンジが先駆けとなり業界にムーヴメントを作り出した部分でもあるので、そこをここまで大きく変えて来るということは当然作り手の思いも大きいはずだ。ということでまず冷静にラインアップを見てみると、まずエクストラ・マチュードに変わって製品の数が1つ減っていることに気付く。旧は4つ、新は3つ。しかも旧のマディラとバーガンディに相当する製品は新ラインアップにはない。この点についてヴーヴ・クリコの方は各製品をまったく違った個性に仕上げたかったということと、常に高いクオリティを維持するための方策だと説明していた。ぶっちゃけ、マディラとバーガンディについてはこれらの製品を維持していくための高品質の空き樽を、今後も一定量確保し続けるのは難しくなったという一面もあるそうだ。反対にシェリーとルビーポートに関しては、これまで品質がブレやすかったものが、今後は一定の品質のものを望む量だけ確保することができるようになったのだそうだ。それにより、グレンモーレンジの特にシェリーで熟成している製品に関しては、旧とまったく中身や製法を変えていない18年でも以前より品質は向上しているとのこと。まぁ、色々ある。

 そして一番気になる名前の由来だが、これはそれぞれの製品が持つイメージを表す言葉を商品名として選んだのだそうだ。そして、バーで実際に注文を出す際に、例えば「シェリーウッド・フィニッシュをください」と言うのと「ラサンタをください」と言うのと、どちらが注文を出しやすいかという統計分析を取った結果、ラサンタのような愛称がある方が圧倒的に注文が出やすかったという報告結果もあり、そのようなネーミングを行うことになったということだ。その辺りさすが天下に名立たるMHD、ブランディング戦略は一流である。ちなみに例えば「ラサンタ」はゲール語で「温かさと情熱」を意味する。それぞれの言葉の意味はそれぞれについて触れる際に再度言及しよう。

 さらにこのエクストラ・マチュード、ウッドフィニッシュ・シリーズ時代とは製法も異なっている。このエクストラ・マチュードは度数を下げたオリジナルとは逆に度数を46度に上げ、ノンチルフィルターで作られているとのこと。ウィスキーを作る際は通常、樽由来の油脂分を取り除くため、摂氏4度以下まで一度冷やして油脂分を結晶化させ、濾過を行って取り除くというチルフィルターという処理を行う。これを行っていないと冷たい水で割った際などに油脂分が結晶化し、液体が白く濁ってしまうのでそれを嫌って行っている処理だ。ところがこのチルフィルター、油脂分と一緒にテクスチャと色という2つの魅力も一緒に少々ではあるが奪ってしまう。グレンモーレンジは今回このチルフィルターによるテクスチャと色の(僅かばかりの)減衰は、個性を大事にするエクストラ・マチュードには命取りだと考え、他蒸留所と比べてもオフィシャルのモルトとしては珍しく、ノンチルフィルターで瓶詰めする道を選んだ。そしてそれを実現するために度数を46度に上げたとのことだ。今回のこの決断が、エクストラ・マチュードの品質向上に大きく貢献することとなる。

 大分長くなってきたので続きはまた明日。


2007年6月16日土曜日

Bowmore - ボウモア15年 ハートブラザーズ






Hart Brothers ボウモア15年

Distillery : Bowmore

Years : distilled in May 1989 and bottled in July 2004, aged 15 years

Area : Islay

Bottler : Hart Brothres

Cask Type : Unknown

Product : 46% vol, 700ml

Price : -

Remarks : -


 突然だが、ボウモアには結構当たり外れがある。少なくとも、私はそう思う。おいしいボウモアはとてもおいしいが、どうも香りに妙なひねりが強すぎたりして、ちょっと首をひねりたくなるボウモアもある。それは気分や日によって違う(気温の違いのせい?)微妙な香りの立ち方でも変わってくるのだが、意外にオフィシャルのボウモアには外れが多い気がする。逆に言うと、当たりはボトラーズものに多い。このハートブラザーズのボウモアは、そんなおいしい当たりの一つだ。

 色は明るい黄金色。だが、どうもボウモアは全般的にそのような気がするのだが、何だか少しばかり色は暗く淀んでいる。密かに陰を背負った明るい黄金色だ。ほんの少し、微妙に濁っているのだ。言葉では表しにくい。そして香りはボウモアらしく落ち着いている。もちろんアイラモルトなのでアイラらしいピートの香りはする。だが、長熟のボウモアにあるようなしっとりとした落ち着きが感じられる香りだ。ムッと広がる強烈なアイラの薬臭さではなく、グラスの底でゆったりとたゆたう穏やかな海の香り。華やかではないし、刺激的でもないが、適度にしっとりと落ち着いた潮と煙と薬品の香り。実にいい。口に含むとボウモアとしては珍しくまず麦の甘みが前面に出てくる。だから初めて飲んだ時はボウモアのくせに妙に甘いモルトだと思った。そして一口目の口当たりはアイラらしくないマイルドさも感じられる。ところが喉を通るとその第一印象がスッと消えて行き、今度はピリピリとしたスパイシーな後味が長く口の中に残り、甘みが消えて行くのに反比例してモルト侍が「ダシ」と形容している旨味が浮かび上がってくる。その味わいの移り変わりが非常に心地よく、じっくりと飲みたくなるモルトだ。シェリー樽で余計な味や香りがついていない分、ボウモア自身の持つ良さが非常によくわかるボトリングだと思う。

 私が家で飲むアイラとしてボウモアを好むのは、決して押し付けがましくないがかといって弱々しくもなく、落ち着きと刺激、甘みと旨味のバランスが絶妙に取れているからだ。バーではよくアードベッグも頼むが、家ではあれはちと辛い。ラフロイグも家で飲むならオフィシャルなら15年くらいこなれてきてないとやはり辛い。ボウモアか、意外にブルイックラディ辺りが結構いける。このボウモアはそんな私のストライクゾーンのど真ん中に入った、非常にバランスのいいモルトだ。落ち着いた刺激を伴う香り、甘みから旨味へと遷移する味わい、どちらも素晴らしい。ピアソラなんかを聴きながら、少しかすれた辛酸のような、それでいてどこか優しさも感じられるこのアイラを楽しむのがいい。

 最後になったが、今回のボトラーのハートブラザーズは1988年操業。元ホワイト&マッカイのブレンダーであったアリステア・ハートとドナルド・ハートが兄弟で運営している。


2006年11月24日金曜日

PORT ELLEN - ポートエレン17年 プロヴナンス

PROVENANCE ポートエレン17年
Distillery : PORT ELLEN

Years : distilled in 1982-Winter and bottled in 2000-Winter, aged 17 years

Area : Islay

Bottler : PROVENANCE

Cask Type : Unknown

Product : 43% vol, 700ml

Price : 7,000yen

Remarks : -


 1983年に閉鎖され、もう今後は残っているストック分しか出てこない蒸留所、ポートエレン。「最も閉鎖されるべきではなかった蒸留所」という声も多く、その美しい名前の響きと味わいを惜しむ愛好者は多くいます。今回私が手にしたのは1949年操業の老舗ボトラー、ダグラス・マックギボン社がノンチルフィルター&ノンカラーリングで瓶詰めしているブランド『プロヴナンス』の17年もの。このプロヴナンスは他にも19年、22年、23年、25年、そして23年と25年のジョン・ミルロイコレクションと、執拗なまでにポートエレンをリリースしています。何でも創業者のダグラス・マックギボン氏が最も愛した蒸留所がこのポートエレンだったとか。・・・にしても1ボトラーとしてはストック持ちすぎな気もしますが。また、このプロヴナンスというブランドは蒸留された季節によってラベルの色を使い分けることでも有名。春は緑、夏は赤、秋は黄、冬は青です。今回のポートエレンは瓶にも冬の蒸留と書いてあるので、青いラベルとなっています。

 グラスに注いだ瞬間に、濃い潮の香りに、熟成に使用された樽は公表されていませんが、まぁ濃厚なアンバーの色合いからしても明らかにシェリー樽でしょう、ある程度以上のシェリー樽熟成を経たモルト特有の生醤油のような、しかしマッカランのような甘みはあまり感じない、濃厚ながらもドライな印象を持つ独特の香りが広がります。華やかというのとは違う、重厚でいて、それでいて奇抜な個性も持ち合わせた、落ち着いたアイラモルトの香り。強烈にピートが炊かれたアイラ特有の"正露丸のような"と形容される薬くささが、ラフロイグほどきつくはないにせよしっかりと存在しています。口に含むと、すぐにその香りが口の中一杯に、そして鼻孔の中まで満ちあふれて、まろやかな角のないしょっぱさと、それでいて輪郭がぼやけない枠のしっかりしたシャープな味わいが広がります。そして後口にほんのわずかな麦の甘みと、それ以上の強烈な香りとしょっぱさを残しながら、長く、長く印象を残してなかなか消えていきません。そのどっしりと落ち着きながらも強烈な個性をもった香りと、潮っぽさを常に口の中に感じさせながら最後にほんのわずかな甘みが顔をのぞかせる味わいは、PORT ELLENという優雅で美しい名前に似合わず、そう、まるで晩年のヘミングウェイのような老人が上品で暗いバーのカウンターで一人どっしりとかまえて飲むような、そんなモルトのように思えます。将来、このモルトが飲めなくなるのは確かに惜しい。重厚な個性が素晴らしいモルトです。

 余談ではありますが、このポートエレン蒸留所が閉鎖された1983年はモルトにとって大災厄の年。このポートエレンの他にもバンフ、グレンアルビン他いくつもの蒸留所が閉鎖されています。80年代はモルト大不況の時代で、倒産したり生産の縮小を余儀なくされる蒸留所がたくさんありました。以前紹介したローズバンクが閉鎖されたのは1993年ですが・・・。その後のモルトブームまで生き残ることができなかった蒸留所達。このポートエレンやローズバンクは、確かに閉鎖されるべきではなかった。まったく性格は違いますが、どちらも実においしい、素晴らしいモルトを作ってくれています。これほどのモルトを作る蒸留所が閉鎖に追い込まれる。どの世界でもそうですが、いいものが常に生き残るとは限らない。このモルトを飲んでいると、色々とそんな世界の理不尽さにまで考えがいってしまいます。


2006年7月31日月曜日

BRUICHLADDICH - ブルイックラディ10年

ブルイックラディ10年
Distillery : BRUICHLADDICH

Years : aged 10 years

Area : Islay

Bottler : Official

Cask Type : 60% Refill Sherry, 40% American Refill

Product : 46% vol, 700ml

Price : -

Remarks : -



 ピートを強烈に焚き込み、スモーキーで強烈な個性を持ったモルト達が居並ぶアイラ島において、最も穏やかで優しい風味を持つと言われるこのブルイックラディ。結婚式の時にPCKから贈り物でもらった逸品です。もらった袋を見てみるとシーバス・リーガルの箱とよくわからない麻の袋が入っていて、まずシーバス・リーガルを開けたら中にはいつもの極悪ミッフィーの顔のシールが張ってある瓜が!次に麻の袋を開けてみたら入っていたのがこのブルイックラディでした。いやー、贈り方が実にPCKらしい(笑)。ありがとう、PCK!

 このブルイックラディ蒸留所、創設は1881年で1975年に改装されています。が、1995年に突然の閉鎖。このままなくなってしまうのかと思われた時期もあったのですが、かのボウモアのブランド・アンバサダーとして業界ではあまりに有名なジム・マッキュエン氏(村上春樹の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』の中で村上氏を案内していたのも彼)とマーレイ・マックデイヴィッド社が買収し、アイラ島唯一の完全独立資本の蒸留所として再開しました。その際、ジム・マッキュエン氏はこれまでピートの焚き込みがブナハーブンの次に少なかった同蒸留所のモルトに、最もヘビーなアイラモルトとして知られるアードベッグ以上のピートを焚き込むとして、同蒸留所の風味をガラッと改革を始めたのです。その行為に関しては賛否両論、どうなるかはそのヘビーピートなものが出回り始めてから本当の評価がくだされることでしょう。その新しい原酒が蒸留され始めたのは2001年。市場に出るのはまだ先のことで、現在は蒸留所閉鎖前のストックが出てきている形になります。今回いただいたブルイックラディ10年はそんな過渡期のものです。

 色は比較的薄めの琥珀色。優雅で穏やかなアイラモルトの入門編と呼ばれるだけあってラフロイグやアードベッグといった強烈な個性で知られる他のアイラはもちろん、最もバランスの取れたアイラモルトと呼ばれるボウモアなんかと比べてもまだ全然スモーキーな薫りは穏やかです。むしろ麦の素朴な香りがほのかにし、香り自体はモルトとしては控えめな感じがします。味の方は「最も穏やか」とか「ひじょうにまろやか」とか「食前酒向き」とか一般的に言われてますが、私に言わせれば実は結構骨太。しっかりとした強いボディに麦の暖かさと甘みが舌の真ん中辺りに広がるその味はライトとするにはちといかついように思います。そのしっかりした飲み応えのあるテイストは、「入門用」とか「ライト」といった言葉に拒絶反応を示す酒飲みマニアの方々も充分満足させることができるものでしょう。他のアイラモルトでは強烈な香りの影にかすんで出てこない暖かくふくらむ麦の風味が、このブルイックラディではしっかりと味覚として楽しむことができます。・・・しかし本当に、これにアードベッグ以上の強烈なピートをかけたらどうなるんでしょうか・・・?

 日本語で書く時の記述は他にブリックラディックやブリックラディなんかもありますが、個人的にはブルイクラディじゃないかなと思います。ジム・マッキュエン氏が就任以降、次々と新しいボトルを出してくるブルイックラディ。ボウモアやマッカランのように、その様々なボトルの違いを楽しむことができるのも魅力です。





2006年4月3日月曜日

Glenmorangie - グレンモーレンジ アーティザンカスク






グレンモーレンジ アーティザンカスク
Distillery : Glenmorangie

Years : aged 9 years

Area : Highlands

Bottler : Official

Cask Type : first fill/hogshead

Product : 46% vol, 500ml

Price : 7,000yen

Remarks : Glenmorangie Artisan Cask


 北ハイランドを代表する蒸留所グレンモーレンジ。作られるモルトはすべてモルトとして出荷され、一切ブレンド用に回されることはないという、ある意味気高い蒸留所でもある。本場スコットランドではグレンモーレンジが一番多く飲まれているのだとか。ウッド・マネジメントという言葉・概念を作り出し、蒸留した後原酒を寝かせる樽に非常に強いこだわりを持つことでも知られる。ポートワインやマディラワイン、シェリー等でフィニッシュされたウッドフィニッシュ・シリーズはもはやグレンモーレンジの定番になっている。思えばこの蒸留所に関してはブレンドに回されないどころかボトラーズものすらほとんどみかけない。熟成を行わせる樽に強いこだわりと研究心を持つこの蒸留所にはボトラーがただ原酒を買い取って自分のところで熟成させてもオフィシャルを超えることができないからなのかもしれない。あるいはただ単にボトラーにも原酒を回していないだけなのだろうか?

 ともあれそのグレンモーレンジがウッドマネジメントの集大成として出してきたのがこのアーティザンカスクだ。同蒸留所がモルトを寝かせる樽にふさわしい木材を探求するところから始まったこの品には、グレンモーレンジのウッドマネジメントに対する並々ならぬ執念が感じられる。何と言ってもパッケージにどのように作成された樽かが詳細に書いてあるのだ。

 同蒸留所は樽に理想的な木材を探してアメリカ、ミズーリ州のオザーク山に行き着いたと言う。そこは日当たりも悪く、土地もあまり肥沃ではない。だからこそモルトの熟成に向いた木材が育つという。日陰が多く、栄養も少ないところでゆっくりと成長した木からは、年輪が密に詰まった樽に最適な木材がとれる。その中でもさらにアーリーウッドと呼ばれる春材(早材)の部分はレートウッド(秋材)に比べると顕微鏡で見た際にスポンジのような構造で吸水性に富んでいる。その木材を通常機械で2週間程で乾燥させてしまうところを敢えて自然乾燥で2年間かけて乾燥させ、それを用いてこのアーティザンカスクの樽は作られている。樽1つにとんでもないこだわりようだ。

 そのこだわりが生み出したこのアーティザンカスク、実際に飲んでみると実に素晴らしい。色は明るい金色で、9年という比較的短い熟成期間故のフレッシュさが感じられる。香りも軽やかという程広がりもせず、重くという程グラスに溜まりもせず、ふわっとほどよく柑橘系とバニラのような上品な甘さを持って広がっていく。マッカランを始めとするシェリー樽熟成系とは明らかに香りの質が異なる。口に含むと実に滑らかで、フレッシュな柑橘系の香りと甘みがしっかりと広がっていき、すっと消えていく。このモルトの面白いところはその後味で、一旦余韻が消えたかなと思った頃に、最後にまたもう一回口の奥から少々まったりとしたバターのようなフルーツのような不思議な甘みが蘇ってくる。またその感覚がよい。

 グレンモーレンジが生み出した徹底的な樽へのこだわりによるこの逸品は、9年という短い熟成期間にも関わらずその倍の時間を経た他のモルトと比べても遜色のない素晴らしい出来映えだ。何しろ私は5,000円以上のモルトをこのアーティザンカスクで初めてリピートした。アップした写真は2本目のもので、今1本目の最後の一杯を飲みながらこれを書いている。容量が500mlとやや少ないことを考えると、やはり少々値の張るモルトであることは確かだが、それにしても掛け値なしにおいしい。作り手のこだわりと執念は、9年の熟成でもここまでおいしい程のものを作り出せてしまうのだなと畏敬の念すら覚える。このモルトは長期熟成でもいけると思うので、いつかきっとアーティザンカスクの長期熟成ものが出てくるだろう。その時は、きっとさらに激しく値が張るだろうけど、是非飲んでみたいと思う。あと何年後かわからないが、楽しみだ。

2006年3月6日月曜日

Macallan - マッカラン14年 ザ・ゴールデン・カスク






マッカラン
Distillery : Macallan

Years : distilled in May 1991 and bottled in June 2005, aged 14 years

Area : Speyside

Bottler : The Golden Cask

Cask Type : Unknown

Product : 56% vol, 700ml

Price : 4,980yen

Remarks :


 1つ前に紹介したシグナトリーのマッカランと同じ14年もののボトラー違いという事で、飲み比べという意味で敢えて立て続けにマッカランを。こちらはマクダフ蒸留所のオーナーの個人的なストックをジョン・マクドゥーガル氏が選別したという、比較的最近出て来たブランド『The Golden Cask』。このボトラーも先のロングモーンに続き2本目なので、そちらとの比較も楽しみです。

 色は先のシグナトリーよりも少し色が濃いものの、オフィシャルの濃いアンバーとはやはり明らかに違う透き通った琥珀色。色だけを見ていると先の同じGolden Caskのロングモーンとほとんど見分けがつかない、見るからに華やかな色合いです。マッカランに限らずウィスキーというのはあまりに色が薄すぎると私は「ん~、これホントにおいしいのかな?」と心配になってしまうのですが、これはそんな心配もさせないほどよい色合いです。

 56%と度数が高いこともあってか、マッカランにしては非常に揮発性の強い香り。オフィシャルの落ち着いた甘みのある香りと比べると、華やかさと爽やかさが前面に出て来て少し軽くなった印象です。マッカラン特有の蜜のような濃密な香りは息をひそめ、爽やかな甘さと夏草のような香りが広がります。よく確かめると確かにマッカランなのですが、ちょっと確かめただけではむしろグレンキンチーじゃないかとすら思うような、ちょっとライトな香りです。シグナトリーのアンチルフィルタード・コレクションに関しては「樽から来る木の香りの印象が強い」のが特徴のように思えるとかいたのですが、このThe Golden Caskシリーズは明るく華やかな香りに最大の特徴があるように思います。

 口に含むと度数が高いことも大きく起因しているのでしょうが、結構刺激が舌につきます。一瞬強い刺激とともに甘みが広がってすぐにすっとその甘みが消えて麦の味わいに変わり、あまり長くない余韻を残して消えて行く感じ。非常に上質な甘みが隠れている気はするのですが、どうにも刺激が強すぎてあまりいい面が前面に出て来てくれないのです。とりあえずこれは度数が強すぎるのが問題なんだなと思い、少し水で割ってみました。そうすると嫌な刺激はさすがに丸くなり、やっと奥に隠れた優しい麦の甘みと爽やかな夏草のような後味が表に出て来てくれます。なかなか個性の強いマッカラン。マッカランはスペイサイドのモルトですが、それよりはちょっとローランドモルトよりの香り・味わいを持っているような気がします。しかも度数が高いせいか、本質的に非常に明るく華やかな性格を持ったモルトなのに、一点刺激の角が舌につく。これはちょっとばかり水で割って飲んだ方がおいしいかもしれません。

 最後になりますが、私が手にしたボトルは644本中616本目でした。

2006年1月15日日曜日

Macallan - マッカラン14年 1990 シグナトリー アンチルフィルタードコレクション






マッカラン
Distillery : Macallan

Years : distilled in 1990/12/31 and bottled in 2005/04/21, aged 14 years

Area : Speyside

Bottler : Signatory

Cask Type : Sherry Hogshead

Product : 46% vol, 700ml

Price : 5,200yen

Remarks : Cask No: 97/278/48


 先にも紹介したボトラー、シグナトリーの同じくアンチルフィルタードコレクション。シングルカスクで無冷却濾過・無着色が特徴(加水調整はあり)のこのシリーズ、今度はマッカランです。オフィシャルの出来が素晴らしいだけに気になるボトラーによる仕上がりの違い。比較的廉価ながらもその品質の高さには定評のあるシグナトリーのこのシリーズで、マッカランがどのように仕上がっているかは楽しみなところです。

 オフィシャルとの違いとしてまず目につくのはその色合い。オフィシャルのマッカランは非常にシェリー樽の色合いが濃く出た濃いアンバーをしているものですが、こちらのマッカランはとても明るい黄金色。とても同じ原酒と思えないくらい色が違います。その色合いからするとオフィシャルよりは軽そうな印象を受けるのですが、なかなかどうして、実際飲んでみるとそんなこともなかったわけです。

 瓶の蓋を開けた瞬間、落ち着いてすっと広がってくる麦の爽やかに気品のある香りはやはりマッカラン。オフィシャルのようなトロンと濃密なものでなく、麦や夏草を思わせる、ちょっとドライながらも背筋の通った気品溢れる香りはオフィシャルとは少しイメージが違うながらも非常に好印象です。口に含むと樽の香りを連想させる乾いた香りがまず感じられ、味わって飲んで行くにつれ舌の奥の方に麦の味がふわっとまとまって微かな甘みを残して消えて行く。印象は非常にドライながらも辛口だとか刺激的だとか感じる後味を残すこともなく、最後は余韻の中にほんのりとマッカラン独特の甘みを残して去って行く辺りはなんというかさすがです。そしてこれは同じアンチルフィルタードコレクションのクラガンモアもそうだったので、もしかしたらこのシリーズの性格なのかもしれませんが非常に樽から来る木の香りの印象が強い。オフィシャルに比べるとかなりドライに感じるのですが、芯のところでしっかりとマッカランらしい香りと味を骨として持っている。そしてそれがあるからこそ非常にドライに思える表面側の味や香りを、裏で微かに見え隠れする甘く濃厚なマッカラン特有の蜜のような風味が支えて絶妙なバランスが成り立っているのでしょう。ちょっとオフィシャルとは性格が違いますが、これは間違いなくマッカラン。おいしいです。いいコストパフォーマンスしてると思います。

 最後になりますが、私が手にしたボトルは288本中265番目でした。

2005年12月31日土曜日

LONGMORN - ロングモーン ザ・ゴールデン・カスク

ロングモーン
Distillery : LONGMORN

Years : distilled in 1990 and bottled in 2005, aged 15 years

Area : Speyside

Bottler : The Golden Cask

Cask Type : Unknown

Product : 54,5% vol, 700ml

Price : 4,980yen

Remarks : Cask No: LN 23

 一般的にはあまり名前は知られていないものの、ブレンダーの間では昔からマッカランと並び称されてきたという、通の間で非常に評価の高いロングモーン。シーバス・リーガルのトップドレッシングモルトとして有名だ。日本では何と言ってもニッカウヰスキーの創始者である竹鶴正孝氏がウイスキー蒸留の実技を学んだ場所として有名であろう。まぁ、有名ってほど知られてはいないのだろうけど(苦笑)。

 この『ザ・ゴールデン・カスク』シリーズはマクダフ蒸留所のオーナーが個人的にストックしていた樽を瓶詰めしたシリーズで、無着色・無冷却濾過にて瓶詰めされている。樽の選別はラフロイグ蒸留所やスプリングバンク蒸留所のマネージャーを歴任したジョン・マクドゥーガル氏とその奥さんが行なっているそうで、業界の第一人者が選別した樽をシングル・カスクで楽しめるのが魅力だ。そういった背景もあり、この『ザ・ゴールデン・カスク』シリーズは非常に評判が良いそうだ。

 シーバス・リーガルのトップドレッシングモルトとして有名なロングモーン、実際にオフィシャルの方を飲んでみると、シーバス・リーガルの香りを楽しむ際まず表に出てくる非常に揮発性の強い、明るく華やかな花のような香りのほとんどはこのロングモーンに由来するものだということがすぐに理解できる。この『ザ・ゴールデン・カスク』シリーズのロングモーンもオフィシャルと同じ香りの印象で、グラスに注いだ時点で軽やかにふわっと広がる明るくて華やかな、何となく初夏の川面の陽光の反射を思わせるきらびやかな香りは実に特徴的だ。蜜のようと言うほど甘みの強くない、さわやかで軽やかできらびやかな、不思議と視覚的で明るい香り。そのロングモーンの特徴はオフィシャルでもこの『ザ・ゴールデン・カスクシリーズ』でも十分堪能できる。味は香りのイメージからも想像できるように比較的軽く、さらっと控えめな甘みがまず口の中に広がったと思うと一瞬で引いていき、ややドライな麦の印象を微かに残しつつすっと余韻も消えていく実に潔いモルト。オフィシャルより度数が強いので華やかさと軽さが身上のこのモルトにしては少しいかつい印象を受けるが、その基本的な性質はオフィシャルの持つイメージとまったく同じだ。オフィシャルとはまったく違ったイメージのボトラーズものも世の中には多くあるが、このロングモーンはオフィシャルのイメージを崩すことはない。個人的にはやや軽すぎるかなと感じるオフィシャルのロングモーンに、少しばかりのトゲと、オフィシャルより少し厚みが出た甘みがいい味を醸す、非常にバランスの良い一本に仕上がっている。開封して最初の頃はアルコール度数の高さがきつさとして目立っていた感があったが、開けて約3ヶ月が過ぎた今ではそのトゲが少し丸くなっておとなしく飲みやすくなってきた。その分ロングモーン特有の揮発性の高い香りも少し揮発性が落ちてきてグラスの中に溜まるような感じになってきたのだけれど。

 最後になったが、今回私が手にしたボトルは225本中の120番目と手書きで記載されていた。

2005年10月9日日曜日

Bowmore - ボウモア ダーケスト

ボウモア ダーケスト
Distillery : Bowmore

Years : Unknown

Area : Islay

Bottler : Official

Cask Type : Oak Sherry

Product : 43% vol, 750ml

Price : 4,900yen

Remarks : -



 潮の香りがするアイラモルトとしてん根強いファンの多いボウモア。そのシェリー樽熟成のボトルがこの『ボウモア ダーケスト』だ。"From The No.1 VAULTS Of Black Bowmore"と化粧箱にデカデカと書いてある通り、かつて存在した『Black Bowmore』の後継としてリリースされたものであるらしい。No.1熟成庫から厳選した樽を使用し、12年以上バーボン樽での熟成を行い、その後2年以上シェリー樽で追加の熟成を行って出荷される。ウィスキー評論家のマイケル・ジャクソン(月面歩行とかやっちゃう彼ではない)は数あるボウモアのシリーズの中でもこの『ダーケスト』に最高の評価を出しているとか。何にせよ、シェリー樽熟成のボウモアというだけでなかなかそそる一品だ。

 伊達に"Darkest" と銘打ってあるわけでなく、色は非常に濃いアンバー。マッカランと見紛わんばかりの濃い色をしている。アイラモルトはこのボウモアに限らずピートのきつい香り(正露丸のようとよく言われる)がして、それが好みを分けるものだが、このダーケストはアイラの中では中程度のピート香を持つボウモアの中では比較的おとなしい方。ピートの煙と潮の香りにシェリーの甘い香りが混ざり合って、なかなか絶妙なバランスを出してくれる。シェリー香がピートの持つ強烈な香りを少し中和している感じだ。

 ボウモアは決して甘口のモルトではない(といっても激辛というわけでもないが)ので、口に含んだ瞬間も決して甘みが前面に出てくるわけでなく、実直な、ともすれば地味に感じるくらいの麦の味を、軽くくるむ程度にシェリーの甘みとまろやかさが付いてくる。アイラモルトの持つ強烈な個性を、シェリー樽による熟成が一段大人にさせて深みが増したように感じる。アイラの暴れ狂う強烈な個性を経て、一歩スペイサイドのヘザーハニーを加えて踏み込んだイメージ。ラフロイグやアードベッグのような強烈な臭いモルトが好きな人には少々物足りないのかもしれないが、これはこれでアイラとスペイサイドのいい部分を取って悪い部分を補いあった、非常にバランスのよいモルトであるように思う。この『ボウモア ダーケスト』はかなりお気に入りだ。少しきつい渋めな個性と、深く味わえる洗練と、どちらも一度に味あわせてくれる贅沢さがある。

2005年7月10日日曜日

Cragganmore - クラガンモア14年 1989 シグナトリー アンチルフィルタードコレクション






クラガンモア14年 1989 シグナトリー アンチルフィルタードコレクション
Distillery : Cragganmore

Years : distilled in 1989/04/18 and bottled in 2003/12/09, aged 14 years

Area : Speyside

Bottler : Signatory

Cask Type : unknown (hogshead)

Product : 46% vol, 700ml

Price : 3,900yen

Remarks : -



 数々の人気シリーズをリリースしているボトラー、シグナトリーの「The Un-Chillfiltered Collection」シリーズのクラガンモア。このシリーズは文字通り一切の冷却濾過を行わないのが特徴で、そのため寒い場所で保管したり冷たい水で割ったりすると色が白っぽく濁ることもある。試しに冷蔵庫でキンキンに冷やした水で割ってみたら見事に白濁してくれた。ボトルにも記述されているが、冷却濾過を行わないことでより一層ボディや香りの強いモルトに仕上がる。このシリーズはそんなに値段も高くなく、酒質も安定していいものが出てくるので人気が高いそうだ。何はともあれ大好きなクラガンモア。オフィシャルと比べてどのような違いが出てくるのか、非常に楽しみに飲んでみた。

 まず最初に思ったのは、オフィシャルほど香りが広がっていかないなということ。オフィシャルのクラガンモアはもう栓を開けた瞬間に軽く華やかな香りがパーッと広がっていくのだが、こちらはそこまで軽やかな性質の香りは持っていない。クラガンモア特有のベトつかないさらっと溶けていくような甘みの香りがより濃縮されて重くなり、どこか干しブドウやドライフルーツを思わせる枯れた濃密な甘みが加わっている。香りというのは濃厚になればなるほど足が重たくなって広がりにくくなるのかもしれない。とはいえクラガンモアらしい爽やかな草木のような芳香や、かすかな落ち葉のような枯れた香りも確かに感じられ、「ああ、やっぱりクラガンモアだ」と思わせる。収穫され積み上げられた葡萄が発するような、ちょっと酸っぱい甘さの香りもする。さすが最も複雑な香りを持つと言われるクラガンモアだ。

 口にしてみると、やはりオフィシャルよりも濃密になって、軽く口の中で溶けて消えていく和三盆というよりは、より主張の強いメイプルクッキーのような甘さと、オフィシャルにはないオイリーさがまず目立った。実際、オフィシャルと比べてかなり長いアシを持っている。この濃縮された甘みとオイリーさはアンチルフィルタードという仕上げ方が生み出したものだろう。とはいえ、その甘みも強く感じるのは一瞬だけで、すぐに嫌みなくスッと消えて余韻の中に入っていく。そして最後にはオフィシャルと同じ草木の香りを口の中に残して、意外にもあっさりと味も香りも消えていく。オフィシャルを太く短くしたような、そんな印象のモルトだ。まぁ濃厚と言ってもシェリー樽熟成のものなどに比べればスッキリしたものだが、ただ、個人的にはクラガンモアはここまでボディが強くなくてもいいかなと感じた。オフィシャルの非常に上品で洗練された味わいが、少しばかり粗野になってしまった気がする。これはこれでおいしいけれど。最後になったが、私が手にしたボトルはカスクNo. 974、387本中の179番だった。

2005年6月29日水曜日

Macallan - マッカラン12年 1990 ハイスピリッツ・コレクション






マッカラン12年 ハイスピリッツ・コレクション
Distillery : Macallan

Years : distilled in May 1990 and bottled in November 2003, aged 12 years

Area: Speyside

Bottler : High spirit's Collection

Cask Type : ex-Sherry

Product : 46% vol, 700ml

Price : 8,000yen

Remarks : without any colouring and chill filtering


 言わずと知れた"シングルモルトのロールスロイス"、マッカランのボトラーズもの。イタリアのボトラー、インタートレード社のハイスピリッツ・コレクションというブランドで、Lochs and Castles of Scotlandというシリーズもの。このシリーズは基本的にシングルカスク、無着色、無冷却濾過で、蒸留所の周りの風景や城等の美しい石版画がラベルに描かれているのが特徴。私が手にしたボトルはカスクナンバー42の樽からの19/332と手書きでシリアルが振ってあった。

 濃いアンバーの色合いからもわかるし裏ラベルにもしっかり書いてあるが、シェリー樽で長期間しっかり熟成されていたため非常にシェリーの風合いが強い。マッカランはオフィシャルものもシェリー樽熟成が味の要だし(新しいシリーズではオーク樽も標準で出てきたが)、実際仕上がりも非常にオフィシャルのマッカランに近い。ただし、最初の一口を飲んだときはもの凄く濃いなと思った。シェリー特有の醤油のしょっぱさと蜜の甘さが混じり合ったような濃密な香りがそのまま味にも乗り移った感じで、正直しょっぱいくらいに濃かった。思わず少し水で割ったくらいだ。マッカランの味がもの凄く濃縮された感じ。最初にはちみつのような甘い香りと味が口の中に広がり、後味が抜けていくにしたがってしょっぱさが舌に残っていく長い余韻。最初の印象は、「強烈なマッカランだなぁ」というものだった。

 ところがこのボトル、栓を開けてからしばらく経つと、なんだか知らないが段々味がこなれてきた。開けたばかりの頃にあった刺激的なまでのしょっぱい個性は尾を潜めて、マッカラン固有の枯木の中の蜜のような落ちついた丸い甘みと香りが目立ってくるようになった。開けてから約半年がたった今では、当初は水で割ろうと思った程のしょっぱさと刺激が完全に消えてしまって、カドが取れてマッカランらしい落ち着きを見せている。とはいえオフィシャルのマッカランに比べればまだまだ味は濃いけれど、逆に言えばより一層マッカランが楽しめる。中には栓を開けてからこんな変身を見せるモルトもあるものなのだなと思った。樽の中でもないのに。

2005年6月27日月曜日

Cragganmore - クラガンモア12年






クラガンモア12年
Distillery : Cragganmore

Years : aged 12 years

Area : Speyside

Bottler : Official

Cask Type : burbon

Product : 40% vol, 750ml

Price : 3,000yen

Remarks : -



 普段飲み用としてタリスカーと並んで愛飲しているスペイサイドの銘酒。スペイサイドの代表格と言えばやはりなんと言ってもマッカランだが、個人的には同じ12年もの同士だったらこのクラガンモアの方がおいしいと思う。ちなみに、オールドパーの原酒としても有名。

 「すべてのモルトの中で最も複雑な香り」と呼ばれるクラガンモア。その最大の特徴はやはりビンを開けた瞬間に広がる軽やかな香りだろう。蜜のようなトロンとした甘さではなく、さっと溶けては消えていく和三盆のようなべとつかないさらりとした控えめな甘さと、草木の緑のような新鮮な空気があっという間に広がっていく。ビンを開ければもうグラスに注ぐ前からわかるほど香りの広がりが早い。口当たりもスムーズで、上品な甘みを感じたかと思うと、すぐに甘みは形を変えて新鮮な緑の空気やもう少しドライな落ち葉のような後味を残してきれいな余韻を残しながら消えていく。軽やかで雑味が少なく、かといって印象が薄いわけでもなく、しっかりと奥深いボディを持ったこのクラガンモアは間違いなくモルトの傑作の一つだ。

 この蒸留所は1869年の設立以来、現在に至るまで設備・手法ともほとんど変えずに運営されているそうで、普通と違い上部が平らなポットスチルを使って蒸留する、その独特なポットスチルの形が蒸留中に上記の中の不純物を取り除くのだという。マッカランやボウモアのように製品ラインナップが豊富なわけではなく、オフィシャルで通常販売されるのは12年ものだけというのが少々寂しいところではあるが、まぁ贅沢言わずにこの12年を堪能していれば十分という気もする。それほど、よいモルトだ。

2005年6月26日日曜日

Rosebank - ローズバンク12年 1992 キングスバリー






ローズバンク12年 1992 キングスバリー
Distillery : Rosebank

Years : distilled in 1992, aged 12 years

Area: Lowland

Bottler : Kingsbury

Cask Type : ex-Sherry

Product : 46% vol, 700ml

Price : 6,980yen

Remarks : Exclusive bottling for Shinanoya


 よくシングルモルトの購入に使わせてもらっている信濃屋さんが出したオリジナルボトル。オリジナルと言っても独自ブレンドとかいうのではなく、オリジナルボトラーズものといった感じだそう。今回は何とケルティックシリーズやハンドライティングシリーズで有名なあの名門ボトラー"キングスバリー"が信濃屋さんのために特別にボトリングしたとのことで、非常に期待をして購入しました。カリラとマッカラン、そしてローズバンクと3つの選択肢があったのですが、今回買ったのはこのローズバンク。何となく一番おいしそうに見えたのです(爆)。90本限定のうち85本目だと手書きでシリアルナンバーが入ってました。

 ローズバンク蒸留所自体は1993年に閉鎖されてしまい、もう新しくストックが増えることはありません。今樽の中で熟成を深めながら眠っている分がなくなってしまえばもう二度と味わうことのできないモルトです。今回のものは1992年蒸留とのことなので、閉鎖の前年に仕込まれたもののわけです。そう考えると何だかもったいない気もしてきます。

 ローズバンクはローランド地方の特徴であるスコッチとしては珍しい3回蒸留を行って原酒を作っていることで、これはアイリッシュウイスキーと同じ回数です。その味わいはソフトでスムース、フレッシュでドライと一般的に言われていますが、それも3回蒸留で余計な成分が飛んで軽くなるが故の味わいなのかもしれません。

 そのつもりで開けてみます。ふたを開けた時の印象は割に穏やかで、香りが一気にふわっと広がっていくという程強烈な感じはありませんでした。シェリー樽熟成特有の、私に言わせれば生醤油のような香りに混じって、ほんのり蜜のような甘い香りがしてきます。グラスに注いで香りをかいでみると、トロンとしたはちみつのような濃密な香りが、部屋中に広がるというのではなくグラスの中に組成の重い物質のようにたまっている印象です。一口飲んで、「甘い!」と思いました。とにかく甘い。香りの通りはちみつのような甘さ。ここまで甘いモルトは初めてです。飲み込んだ後の後味も、香りは蜜のような甘さから草のようなフレッシュな香りにすっと移行して消えていきますが、そのトロンとした甘みはいつまでも下の上に残って消えません。シェリー樽熟成特有の少ししょっぱいような甘みではあるのですが、ここまで強烈なのは初めてです。ローズバンク自体飲むのはこれが初めてで、オフィシャルものとの比較もできないのですが、元々こんなに甘いモルトなのでしょうか?スペイサイドのヘザーハニースタイルの極端な具現化のような、そんな印象を持ったモルトでした。こういう濃厚な甘みのあるモルトは、疲れた時に飲みたくなるかもしれないですね。