少なくとも、3.11後に国や東電に「だまされた」と声高に叫んでいる人達は、この中の伊丹万作による「戦争責任者の問題」だけでも読んでみるべきだ。戦後、日本の国中に「国にだまされた」という空気が漂っていた、その時代の鋭い考察はこの3.11後の日本でもそのまま当てはまる。
その他、管啓次郎の「七世代の掟」は、そのまま短いスパンでの利益のみを求める現代資本主義社会-それは当然原発利権も含む-への強烈な警鐘となるだろう。直接の被災者の方々は「先住民指導者シアトルの演説」に涙するかもしれない。確かに3.11後に読むべきテキストが集められた一冊だ。
それにしても、坂本龍一がさらなる参考図書としてレヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』や中沢新一のカイエ・ソバージュのシリーズを挙げているのはさすがの慧眼。私自身の思考体系にも大きく影響を与えたこれらの書だが、確かに3.11後の今の世界でこそ読み直され、見直される価値がある書だと思う。
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