2004年5月29日土曜日

トマティート & ホアキン・グリロ

 というわけでやっと書きます、トマティートです。去る5月26日の水曜日、私はトマティートとホアキン・グリロのコンサートに行ってきました。その数日前、「なんだかチケットが売れてないみたいで安売りしてるぞ」という情報を聞きつけた私は、まんまと安値でチケットを購入、水曜の夜19時には新宿文化センターにいることができたわけです。いやー、この前のキース・ジャレットに女子バレーの日韓戦もそうでしたが、思いついた時にすぐこういったイベントに行けるのが東京の(数少ない)いいところです。

 今回は前半をトマティート・チーム、後半がホアキン・グリロ・チームという形で2つのチームが交代にステージに出てくるという構成。客電が下り、トマティートが一人椅子に座ります。冷静に考えれば、フラメンコのソロを聴くのは実に久しぶりです。というか、プロの外人フラメンコは初めてです。トマティートは、正直一曲目のMACAEL(TARANTA)の時は、まぁ調子悪そうには見えませんでしたが、ノリもそんなによくありませんでした。それが次の曲でエル・ポティートとホセリート・フェルナンデスが出てきてパルマ、ルキ・ロサダがカホンを叩き始めてからは一気にリズムが生き生きとしてきます。これまで「曲を演奏してる」といった感じだったのが急に「音楽を楽しんでる」ふうに変わるんですね。やはりどんな音楽でもリズム隊がしっかりしてるとその上の演奏が活きてきます。フラメンコも例外ではないようです。三曲目のブレリアスで一気にテンションを上げてからは、そりゃもう一気怒濤のステージでした。前半だけで一時間強、休憩なしの1ステージとしては決して短いものではないですが、時間が流れていることなど忘れるくらい熱中して観ていました。

 トマティートの演奏を聴いていて、フラメンコも音量のダイナミクスはかなり大きく取るんだなということを思いました。学生時代聴いていた時は正直クラシックほどフォルテやピアノを意識していない印象もあったのですが、トマティートのギターは音量のマックスとミニマムの差が非常に大きい。しかもクラシックと違って最小音量から最大音量まで一気に切り替えてくる。ピアノでじっくりためておいて、ドブレが始まったらそのドブレの最後の音ではもう最大音量まで駆け上がってたりするのです。フラメンコはコンパスの節目はアクセントとして強く出して、他は本当に軽く弾くと、以前キムだったかから聴いた記憶があるのですが、まさにそんな感じでした。

 しかしあれですね、パルマとカホンってカッコいいんですね(爆)。無茶苦茶カッコよかったですよ。特にカホン。「カホンってあんなに音色でるんだ」と正直感心しました。ドラムでいうならバスもスネアもクローズド・ハイハットも、すべてカホン一つで賄っちゃってる。しかもまたこれも音量の表現の幅も広いし、ギターのドブレに合わせてハイハットみたいな音で物凄い連打したり、本気でカッコよかったです。あれを観てると、ウチの部のFメンバーも、ギターは頑張ってると思うのですがパルマやカホンがちょっとなまくらすぎる気がします。まぁウチはギター部であってフラメンコ部でないからいいじゃんと言われればそれまでですが、パルマとカホンがもっとしっかりしてればもっとギターも活きると思うのですよね。まぁ、ちょっとそんなことを思ってもみました。

 そして後半、ホアキン・グリロとその仲間達の踊りですが、実は個人的にはこっちの方がさらに衝撃的でした。カッコいい!しかもギターも二人いた方の片方、名前はわかりませんがトマティートに負けないくらいいい味出してたし、女性のカンテも魂入ってていい!なんというか、フラメンコの踊りって凄いですね。しっかり踊ってストーリーも表現しながら、なおかつステップで音楽に参加する。なんか観てて純粋に凄いなと思ったし、最後フィナーレの時なんて本気で感動して涙出そうになりました(苦笑)。しかもまた最後、アンコールなんですがステージの隅でみんなで輪になって、マイクも使わずに生のパルマと歌だけで女性の踊り手のパストーラ・ガルバンが踊り始めるんです。で、ホアキン・グリロ始め他のメンバーは輪になって見守りながら楽しそうに、ホントに楽しそうに彼女の踊りを盛り上げるのです。次はグリロが、そして二人で。なんかもう、観てて羨ましくなるくらい生き生きと嬉しそうに楽しそうにみんなでステージを作ってるのです。最高でしたね。きっと観客がいてもいなくても、彼らはそこにフラメンコがあればそれを楽しんでいくことができるんでしょう。見てて気持ちよかったです。

 このコンサートは最高でした。私は安売りチケットで行きましたが、定価でどちらか片方のステージだけでもまったく文句ないの素晴らしい舞台。ステファノ・グロンドーナもキース・ジャレットも超え、今年一番のステージです。今年どころか過去最高トップ3には間違いなく入ります(ちなみに他のトップ3はブラックモアズ・ナイトの大阪公演と大学4回の時の喫茶アルハンブラでの藤井敬吾先生のコンサート)。こりゃあ安売りしていいチケットじゃねぇなぁと思いつつ、今回のステージを観れた幸運に感謝して、感動の中家路についたとのことです。仕事がなければ確実に木曜も金曜も行ってましたね。カッコよかったな~・・・。

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