茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処での一と慇盛り
今夜此処での一と慇盛り
サーカス小屋は高い梁
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒さに手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
安価いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉がなります牡蠣殻と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
野外は真っ闇 闇の闇
夜は劫々と更けまする
落下傘奴のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
『サーカス』中原中也
6-7行目:一と慇盛り→「ひとさかり」
11行目:頭倒さに→「あたまさかさに」
12行目:屋蓋→「やね」
15行目:安価い→「やすい」
17行目:咽喉→「の(ん)ど」
19行目:真っ闇 闇の闇→「まっくら くらのくら」
21行目:落下傘奴→「らっかがさめ」
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