2006年3月18日土曜日

麦焼酎 小城






小城
製造元 : 天山酒造

熟成年数 : -

地域 : 佐賀

原材料 : 麦・麦こうじ

製品情報 : 25度, 720ml

価格 : 1,100円

備考 :


 シェリー樽熟成の麦焼酎。その売り文句は、一部の人には目に入った瞬間に激しくツッコミを入れたい衝動を覚えさせるはずだ。私もそうだった。そして実際心の中で大きくツッコミを入れた。「シェリー樽熟成の麦焼酎って、・・・ウィスキーかよっっっ!!!」

 というわけでこの「小城」、焼酎なのにシェリー樽で熟成をさせているという一風変わった一品だ。熟成の樽にシェリーを使うのは有名どころではマッカランがそこにこだわり続けているようにモルトの世界では珍しいことではない。だが、焼酎の世界ではさすがに珍しい。瓶で貯蔵することがほとんどで、他の酒が一度寝かされた樽を使用して貯蔵することなど焼酎の世界ではまず考えられない。どうでもいいけれど熟成に使っているシェリー樽、一体何処から仕入れているのだろう・・・? まぁともあれ、モルトも麦、そしてこの小城も麦焼酎。当然のことながら「モルトウィスキーみたいな味わいがするんだろうなぁ」という想像が成り立つ。というわけで、何はともあれ実際飲んでみた。

 色は薄く明るい琥珀色。若いモルトウィスキーを連想させる色合いだが、焼酎としてはここまで色が着いているのはやはり少し珍しい。非常に柔らかで丸い香りの奥にはやはり、麦焼酎というよりはスペイサイドのモルトを彷彿とさせる華やかな甘みが隠れている。味も非常に繊細できめ細かく、「焼酎」という響きが持つ荒々しさは微塵も感じられない。焼酎というのは基本的には甘い酒ではないので、甘みと言っても普通は余韻の中に米や麦、芋といった原材料に由来する甘みがほのかに感じられる程度のものなのだが、この小城に関しては口当たりからしてほんのりと甘みが感じられる。おそらくシェリーに由来するものであろう、微かに果実的な甘み。とはいえ明らかに「甘い」というほどのものではない。微かですっきりとした春風のような印象。焼酎としては確かに甘口の部類だろうが、飽きがこない。実にいいバランスを持っている。飲み方はやっぱりロックがお薦め。最近はお湯割りもおいしくいただけるようになってきたけれど、この小城はロックが一番似合うと思う。華やかな甘さに一本張りが出るし、氷に負けない芯の強さもある。

 製造元の天山酒造は焼酎よりは日本酒の蔵元として有名。佐賀県の小京都小城に蔵をかまえ、その蔵は国の有形文化財にも指定されている。全国桜百選にも名を連ねる小城公園、全国棚田百選及び農村景観百選指定の江里山地区等、とかく自然に恵まれたこの土地は、やはり水も素晴らしい。全国名水百選に選ばれた「清水の滝」が蔵の近くにあり、そこと同水系で蔵の前を流れる祇園川は天山山水系の清流であり源氏蛍発祥の地でもある。現在でも全国有数の蛍の名所であるこの川の水は、酒造りに悪影響を及ぼすと言われている鉄分が限りなく0に近い。そのような素晴らしい水を使って作られている酒がまずいわけはない。

 この「小城」も値段こそ1,100円と高くはないが、この価格からは想像もできないほどおいしい酒だ。なんというか、佐賀に行く度に思うのだけれど、佐賀県の人って商売っけがないからなぁ・・・。東京なら数倍の値段でも行けるくらいの商品やサービスを信じられないくらい安い値段で出してくる。しかも宣伝もする気がないらしく基本的に無名なまま。隠れた名品が意外に佐賀には多い。この小城もそんな隠れた逸品の一つだ。

3 件のコメント:

  1. たぶんシェリー樽はヘレス・デ・ラ・フロンテラで仕入れているんだ。シェリーの語源はヘレスだ。シェリーは甘くない。日本酒にたいする紹興酒、それすなわち、ワインに対するシェリーなのだと思う
    わしにいわせれば、焼酎というのは全て甘い。日本酒もだが、日本の酒は甘い。他の要素よりも、甘さに対して奥深い
    日本人は、基本的に甘党だと思うのだ

    返信削除
  2. シェリーも何だかんだ言って結構甘みはあると思うけどね。
    元がブドウだから基本穀物ベースの焼酎より直接的な甘みは隠れてると思うのだよ。
    まぁ発酵時に糖分は結構飛ぶけれど、それが樽に乗り移るのか何なのか、
    シェリー樽で熟成したものはモルトでも焼酎でも
    「ああ、これはシェリー樽で寝かせたな」わかる独特の甘みが付く。
    シェリーは果物由来の糖分が残っているから
    口に含んだ際まず甘みがあって辛口の余韻を残して消えていくけど、
    焼酎は逆に甘みは最初はほとんど現れずに余韻の中に現れて消えていく。
    その違いだと思う。ともあれ、焼酎よりはシェリーの方が直接的な甘みは上だと思うよ、俺は。
    日本酒は世界の他の酒と比べると非常に甘口な酒だと思うけど。

    返信削除
  3. ↑酔っぱらって書いたから適当やけどな(笑)
    そうかねえ、まあたぶんそう、直接的ちゅうか数値とかだったらシェリーのほうが甘そうやな。でも、まあ、わしには焼酎の方が甘さがたのしめる感ありだなあ。紹興酒なんてかなり甘いはずやのになぜか氷砂糖いれて飲む人もおるやん。なんかシェリーもそんな感じで(氷砂糖いれようとはおもわんが)ワインとか日本酒にくらべると(わしにとっては焼酎とくらべても)、甘さやなくてなんかほかのうまさを楽しむ酒な気がするもんで甘くないと書いたんだと思う。なんかヘレスで飲んだときもそんな気がした。渋いけど豊かな、庶民の酒って感じがしたで。
    とはいえシェリー樽でつくった焼酎てうまそうだな。店でみかけたら飲んでみるわ

    返信削除