1999年6月26日土曜日

独重終了!

 さてさて、とうとうやってきた独重奏会当日は、ホールに8時50分集合のところを8時半に起床(ねぼう)、慌てていそいで行ったら生ゴミの出してあるゴミ捨て場に自転車ごと突っ込むという実にシュールな始まり方をしました。しかも昨日から続く不調は午前中のリハではまったく回復の兆しを見せず、かといって腱鞘炎を抱えた左手で闇雲に練習するわけにもいかず、仕方がないのでのんびりと事態を静観しながら手が冷えない程度に30分おきごとくらいに軽く15分ほど練習というペースでやっていました。あまり当日に弾き倒すと去年みたいに本番でスタミナがなくなるという可能性もありましたしね。とまぁそんな感じで正直本番大丈夫かなと思っていたわけですが、嬉しいことに午後の通しリハの辺りから不調は脱却してきて、だんだんと調子が上向いてきたのでそれにともない精神的なテンションも上がっていって、いい感じで本番を迎ることができました。といっても最初の『セビリア』の時は結構緊張してて出だしをとちったりもしたのですが。この『セビリア』では黒のスーツ(上着付き)に黒のシャツと黒尽くめの格好で出ていって夜の匂いを漂わせてみました。「ホストみたい」との狙い通りのアンケート結果が返ってきましたね(笑)。まぁまぁ演奏の方はお互いのミスをお互いがカバーするという形で勢いだけは豪快にいけたのではないでしょうか。正直完成度的にはこれが一番不安だっただけにね。あれは決して全体の調子が悪かったわけではないです。第一部は重奏がメインでしたが、皆大きな舞台の中、多少の緊張はあってもそれに潰されることもなくよくやれたと思います。

 第二部のフラメンコステージは私は三部への調整と精神統一に入っていて聴くことはできなかったのですが、まぁウチのFメンバーは歴代でも最強だと確信しているので不安はなかったです。やはりアンケートを見ても大好評だったようですしね。強いよ、あんたら。

 そして第三部。去年の定演の時にも使用したラテンの青シャツを着て弾いた『オリエンタル』も「空間を支配したかのような(アンケートより)」曲調が好評だったようでよかったですね。しかしこれも一部の実力者には、曲を練る時間がなくてかなり素で弾いていたのはばれてしまったようです(苦笑)。すみません、実はこの曲かなりの突貫工事でした・・・。第三部はその後まさやん(偽)のプレリュード、シノの『ダンサ・ブラジレイラ』と続いていったわけです。まさやんは2回からの入部でよくあそこまで、といった感じで感慨深いものがありましたね。1回から入ってればC技を彼女に押し付けて指揮やってたのに(?)。まぁ本番では練習程の実力は出せなかったようですが、彼女は去年の定演も出ていなくてこれが初の大舞台なのですからまぁ無理もないことでしょう。頑張りました。でも彼女の名誉のために言っておくと、練習の段階では一部の先輩達の間では私の『シャコンヌ』より凄いとの声も上がっていたんですよ。シノの『ブラジレイラ』も、曲の練習過程での彼の努力と苦悩を端で見ていただけにね・・・。彼も私と同じで腱鞘炎(おそらく)にやられてしまって手がかなりヤバい状態で弾き続けていたのですから、もっと弾きたいのに手がいうことを聞いてくれないというもどかしさはよくわかります。もう独重も終わったし、お互い少し休養を取ろうな・・・。

 そして最後、演奏会の大トリで私の『シャコンヌ』が出てくるわけですが、ハッキリ言ってこの時私はムチャクチャ緊張してました(苦笑)。自分を元気付ける意味も含めて最後ステージに出ていく時は袖に残っていたシノとまさやんに向かって「伝説を作ってくる」とかほざいて出て行ったのですが、実は内心今にも潰れかねない程のプレッシャーを感じていたのです。それでも舞台に出る時は頑張って大物ぶってれば、開場のうちの何人かはそれにだまされてくれるかもしれないと思い必死で余裕ぶった入場してみせましたが。でも構えた時にはまだプレッシャーに支配されていて、このまま弾き出したら絶対潰れると思った私は当初予定に入ってなかった精神統一に入ることになったわけです。そう、一部の人の間で「ビスマルクか?」とささやかれたらしい、いつもの眉間に指を置くあのポーズです。必死で「問題はない」と自分に言い聞かせてました。あれはホントにアドリブなんですよ。まぁそれでいざ演奏を始めてみたら何かが私の中でふっ切れて、余計なことを考えずに演奏に集中できたのでよかったです。第一バリエーションで本来G→Fと弾かないといけないベースを間違ってG#→F#と弾いてしまったという大きなミスも「もういい」と流して知らんぷりして余裕ぶっこいたふりして進んでいくという開き直りぶりが、何人もの人に私はノーミスで弾ききったものとの錯覚を覚えさせていたようです。他にも2、3、4弦で和音を鳴らすところを3、4、5弦で弾いてしまい、ミスッた5弦を左手の空いてる指で瞬間的に押さえて音を消すという荒行があったりと、実は色々ミスッてました(苦笑)。まぁでも途中からは本当に演奏もノッてきて、もう悔いは残らない程の演奏ができたので嬉しかったです。この『シャコンヌ』は評判もなかなかよかったようで、半年間この曲にかけてきた甲斐があったなと出迎えの時は勝手に悦に入ってました。いつもは笑顔で厳しい批評をくれる京大のT君も『シャコンヌ』は凄かったと言ってくれたのが嬉しかったですね(ただし彼は『オリエンタル』にはかなり厳しいツッコミをくれた)。

 今年はフラメンコが強くてクラシックが押され気味でしたから、「クラシックもいい」とか「C技の勤めは果たした」とかいうアンケートを見る度にじ~んときました。やはり年をとると涙腺がゆるむものらしいですね。たとえそれがたった一人だったとしても、今回のCステージを見てクラシックの魅力に気付いてその道を志してくれる人があればそれでこれまでの心労も報われる気がします。とりあえず出演者及びスタッフの皆さん、独重お疲れさまでした。来てくれた人もありがとう。今度は定演頑張りましょう。

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