2006年6月18日日曜日

オーディオ新時代 - SACD/DVDオーディオ

 引越の際、コンポを買い替えました。それまでのKenwoodのものからONKYOのX-UN9(D)に替えたのです。以前のKenwoodのものも10万円(当時)級のものだったので、ランク的にはほぼ変わらずといったところなのですが、1点大きな違いがあります。このX-UN9(D)はSACDDVDオーディオの再生に対応しているのです。DVDオーディオ(以下DVD-Aと表記)が再生できるプレイヤーがいいという父の強い薦めにより、このONKYOのミニコンポを選んだわけです。元々次に買うならONKYOかDENONだなとかねてより考えていたこともあったのですが。で、SACDとDVD-Aを再生できるプレーヤーを手に入れた私は、早速SACDやDVD-Aを買って試してみたわけです。

 通常の音楽CDより高音質であることが売りのこの2つのフォーマットですが、実際どのくらい違うかって、正直ビックリするくらい違いました。音質ってやつは結局いいスピーカーやアンプ使っていい音が出せる環境を整えてあげないとなかなか違いがわからないもので、実際通常のミニコンポクラスだと"20bitデジタルリマスター"とか言われてもはっきり言って違いがわからないものです(苦笑)。けれどこのSACDやDVD-Aはもう意識しなくてもわかるほど圧倒的に音の質が違う。フォーマットの違いだけでこんなに音質が変わるとは思いませんでした。私は主にクラシックで試したわけですが、SACDやDVD-Aは通常のCDと比べて楽器の響きが明らかに自然なのです。これまでもCDの響きが不自然だと思って聴いていたわけではありませんが、SACD、DVD-Aと比べると明らかに楽器の響き方が薄いと言うか平坦な感じがするのです。それは特に弦楽器の高音域に顕著で、オーケストラで高音の弦楽器が続く部分なんかは音の響きの美しさにビックリしました。ちなみに私がそのSACDの弦楽器の響きの美しさを特に実感したのはこのゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団演奏のショスタコービチ交響曲5番&9番。演奏は賛否両論なこのアルバムですが、5番の第4楽章最後の弦の響きは非常に美しい。さすが石丸電気のSACD/DVD-A専門フロアで優良録音として紹介されていただけあります。

 で、SACDとDVD-Aのあまりの音の良さにすっかり感激してしまった私は、早速次の段階に行ってしまいました。SACDやDVD-Aの魅力の1つはその高音質のみならず、最大6chをサポートするマルチチャンネル。私が買ったX-UN9(D)は別売りのオプションを買えば簡単に5.1chのシステムができあがります。しかも値段もそう高くはありません。・・・買ってしまいました(爆)。これで右、左の通常のステレオだけでなくセンタースピーカー、左右後方の2基のスピーカ、そしてサブウーファを搭載したマルチチャンネルシステムです。早速試してみました。比較材料は私の大のお気に入りの録音である、カルロス・クライバー指揮ウィーンフィル演奏のベートーベン交響曲5番&7番です。これは元々CD版を持っていたので、SACD版を購入しての聴き比べです。

 この名演中の名演との誉れ高いクライバーの『運命』で比べるに、やはりCDとSACDでは音が全然違います。しかもそれがステレオから5.1chに変わるともはや比較にならないくらい違う。モノラルからステレオになった時も同じ衝撃があったのでしょうが、5.1chマルチチャンネルは通常の2chステレオと比べて明らかに音の立体感が違います。オーケストラの各楽器のそれぞれがどこに位置してどこから音が出ているかがわかるような立体感と遠近感。壮大なオーケストラの曲ではその違いは直接リアリティの違いになります。部屋の中の小さなミニコンポでもこれまでの最高級2chオーディオに負けないくらいの臨場感が味わえる5.1chサウンドは素敵です。そしてやはりSACDの素晴らしい響きとCDよりも遥かに広いダイナミックレンジがより一層の生々しさを演出してくれて、これまでのCDとは比較にならない程音の体感が違います。SACDにDVD-Dというソフトのフォーマットの違いと5.1chというハードの違い。オーディオは進化しています。

 今回比較に使用したクライバーの『運命』は元々2chステレオの録音を5.1chにリミックスしたものですが、近年出ているそもそも録音からしてマルチチャンネル録音のものはまた更に一段臨場感が違います。先のゲルギエフのショスタコ5番もそうですし、アンドリュー・マンゼとイングリッシュ・コンサートのモーツァルト作品集『The Night Music』なんかも古楽器の響きとSACDのマルチチャンネルが楽しめるいい録音だと思います。

 SACDもDVDオーディオも市場に出てからしばらくはイマイチ認知が広がらずなかなか苦戦を強いられていたようですが近年は主にクラシック/ジャズ界を中心にかつての名盤がSACDやDVD-Aで再リリースされたり、タワレコやHMVがプレーヤーも含めてキャンペーンを打つ等、やっと少しずつ広がりを見せ始めたように思います。ロックの世界でもクイーンの『オペラ座の夜』やDEEP PURPLEの『MACHINE HEAD』がDVD-A、PINK FLOYDの『狂気』がSACDで出てくる等、少しずつタイトルが増えてきています。クラシックギターでは村治佳織や山下和仁なんかの最近のものはSACD盤も出ています。ラッセルの新譜もSACDで出るとのことで予約していたのですが、発売するなり取り扱い不能。どうなってるんでしょうか?ラッセルの所属するtelarcは優秀な録音技師を擁し早くからSACDに取り組んでいるレーベルだけに期待が持てるのですが。ともあれしばらくはSACDとDVD-Aを買い漁る日々が続きそうです。


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