2003年11月16日日曜日

2003年度衣笠CGC定期演奏会

 行ってきました定期演奏会。今年は私が直接知っている代も四回生になり最後の定演ということで、何となく自分の中でも節目のようなつもりで観ていました。もう来年からは直接知っている人がステージに立つことはないわけですからねぇ。ちょっと寂しくなります。

 会場に着いてアルティの前に止まっている自転車の数にまず驚き、開演が六時だったことにも相当驚いたわけですが(余裕だと思ってたのにギリギリだったとは・・・)、とりあえずそれはさておいて今回の演奏会全体の印象をまず一言。総じて演奏に安定感のある、安心して聴けるステージでした。アンサンブルも独重奏も、見ていて心配にならないんですね(笑)。高いレベルで演奏のツブがまとまってきたなぁ、って感じです。

 Cステージで最初『ゴリーウォークのケークウォーク』、『アニトラの踊り』と私の知らない曲を2連発でやられ、その印象派的な空気に惑わされ、「・・・最近Cではこういったのが流行ってるのか?時代は変わったなー・・・」と何だか妙に感心してみたりもしました。どちらも私達の代とかだとまず選択肢にすら昇らない曲でしょう。そもそも基本的にドビュッシーとペールギュントをギターで演ろうという発想がありません(苦笑)。その意味で非常に楽しませてもらいました。いいでもなく悪いでもなく、時代はただ変わるのだなぁ、とか。そしてT北ソロ。個人的に彼のソロ結構好きなのです(笑)。選曲はともかくとして、とにかく聴かせるのがうまい。歌心が凄い。音楽ってのは指が回ってナンボでもなければ、教科書通りに弾いてナンボでもないですし、格式だの格調だのでナンボってわけでもありません。今挙げたようなテーゼを真正面から否定して、とにかく歌を聴かせる彼のギターは私的には非常に好きなのです。「コイツはわかってる!」ってところです。特に格式だの格調だのなんて演奏会の概念に持ち込むのは私は大嫌いですからね。そんなのを全部無視して弾きたい曲弾いて、それでしっかり音楽聴かせてくれるT北はいいと思うわけです。アンサンブルでの確実なサポートも含めて、さりげなく今回のMVPです。

 そしてC技殿。うまいとは聞いてましたが、なるほど、本当に彼うまいですね。ビックリしました。イントロの部分からしっかり聴かせてくれて、そこからして「ああ、コイツは違うなぁ」と思わせる堂々の演奏ぶり。弾いた曲が曲だけに京大(卒)の聖帝殿も頭をよぎりましたが、聖帝殿のように「サラッと優雅に」というよりは多少の粗さと力強さを持つしっかりした音で安定感のある演奏は、聴いてて純粋にうまいなぁと思いましたね。とはいえ手放しでもつまらないので、敢えて「欲を言うと」ってところを言わせてもらうと(爆)、もう少しダイナミクスの幅を有効に活かせるようになると素晴らしいかなぁ、と思うのです。彼は非常にうまいですし微細な表現にこだわるだけの余裕もあるのですが、まだ表現の幅が狭く、ちょっとまとまりすぎな印象を受けてしまうのです。全体的に硬い音使い過ぎかなとも感じますし、ホールよりの音とブリッジよりの音の落差、そしてピアノをもっと思い切って落としてダイナミクスを広くとって観客の耳をそのギャップに引き付ける駆け引き、そんなものをもっとうまく利用すればもっと観客を飲み込んでしまうようないい演奏ができると思うのです。そしてクレッシェンド・デクレッシェンドの際はその広く取った落差の中で音の出し方のアーティキュレーションを操作して、曲の緊張感や高揚感といった空気を音楽の場に合わせて操作する。それができればもう最強ですね。要は音色・音量のダイナミクスをもっとうまく活用しましょうと。特にピアノはもっと思いきり落としてもいい。・・・まぁ、ステージでピアノを落とし切るのって実は結構根性いるんですけどね。ピアノを落とし過ぎると客席に聞こえないんじゃないかとか発音に失敗するんじゃないかっていう不安もあるし、状況次第では自分にも音が聞こえなかったりする。まぁそこは経験とステージ度胸でしょう(?)。

 そして大合奏、今年も私が編曲した『亡き王女のためのパヴァーヌ』は頭の中にあったイメージ通り(実は曲的にあまり変わりようがない?)落ち着いた演奏を聴かせてくれていい感じに演奏してくれました。途中1stでハーモニクスが連発する中間パートのところで突然テンポが上がったのにはちょっとビックリしましたが、それもなかなか勢いと個性が出ていてよかったです。こうしていい演奏を聴かせてくれると、編曲してよかったなぁって思いますね、やっぱり。ところで、客席で吉田先生にお会いして話していたら、「ハープのアルペジオのところだけ音の並びがおかしかったから直させてもらった」と仰っていたのですが、誰か吉田先生版の校定譜私にくれませんかね?微妙に気になってたりします。多分ギターでセーハしてアルペするだけで弾けるよう音列を変えたところのことだと思うんだけど・・・。

 大合奏最後の『花のワルツ』は、私も2回生の時のAアンで弾いた曲、そしてあの曲を引っさげて大分に演奏旅行に行ったという思い出の曲です。当時私は2ndで、パートリーダーはまりもさんでした。ところがあの曲、イントロからしてハープの32分音符が弾けない弾けない(爆)。そこでまりもさんと指揮者が相談して、音を半分にして弾いてたりしたのです。その他あの『くるみ割り人形』の編曲にはギター的に無理がある編曲が随所にあったり、あまつさえ『小序曲』は定演まで一ヶ月切るくらいまで編曲上がってこなかったりでとにかくグダグダで、それに切れた私が2回生会議で「もういい、来年は俺が編曲する!」と言い切ったのが私のAアン編曲の始まりなのです(笑)。なのですが、今年の皆さん、あの編曲元々の譜面のまま普通に弾いてましたねー・・・。あれは正直「おお、やるなぁ」と思って聴いてました。この曲はもう聴いてて当時の練習風景やら大分の演奏旅行やら初めてのAアン本番のことやら、とにかく色々思い出してきてたまりませんでした。最後フィニッシュを決めるところなんて、吉田先生が前に立って「よく指揮見てな」と言って歌いながら何度も練習した時の光景が本当に思い出されました。懐かしい気分でした。よくあの曲演ったなぁって思います。その懐かしさのせいでしょうか、変な話ですがステージ上の演奏者の皆さんと勝手に一体感を感じていました。自分もステージにいるような、とまではないにしろ、でも心の中で一緒に演奏しているような、そんな感じです。何か気持ちよかったですね(笑)。よくやってくれたよ、って感じです。

 その他思いつくままに。ポピュラーアンサンブル、4回生中心の落ち着いた演奏が、最上回生らしい心遣いで曲が奏でられていてとても好印象でした。これって軽く4回生ステージみたいなもんだったんでしょうか?フラメンコ、これも元F技殿、ぎぃ助、りとりとの4回生トリオの足の地に着いた演奏はさすが最上回生って感じでしたね。こいつらが「足の地の着いた」とか感じさせる最上回生になっているとは時の流れとは恐ろしいものです(爆)。そしてF技デュオの『Tangos』は音の出方といいリズムの安定感といい、非常に堅実で風格のある演奏でよかったです。なんか去年くらいからフラメンコちょっと落ち着いてきたなぁって印象を受けますね。それはいい意味で。私達の代にあったような熱気とは違う落ち着きを感じるようになってきました。

 演奏者及びスタッフの皆さん、お疲れさまでした。そして特に4回生の皆さん、これで最後の定演ですが、4年間本当にご苦労さまでした。あの代も活気のある代でしたからね。きっと色々と思うところもあるんじゃないかなーと勝手に想像しています(←オイ!)。非常に気持ちのいい演奏会でした。

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