1999年3月31日水曜日

大切な本 -『風の歌を聴け』

 今日、久しぶりに村上春樹の『風の歌を聴け』を読み返してみました。といっても私が持っているハードカバーのやつ(忘れもしない高3の8月14日、長野での合宿の帰りに東京の八重洲ブックセンターで購入したものです)は今貸し出し中で、でもそれでもなんだか無性に読みたかったので、所詮300円ちょいと割り切って生協で文庫本を買ってきました。そして一緒に買ってきたCDを聴きながら読んでいました。短い本です。CDを一回聴き終わるまでには読み終わらないかも知れませんが、二回聴くまでには読み終われます。そういうシンプルな本です。

 初めてこの本を読んだとき、何故かはわからなかったんですけどとにかく心が震えたのを覚えています。それは感動というよりはどちらかというと共感に近いものであったもしれません。ともあれ、私はその本を読んで自分も文章を書こうと思い、そしてそれが今に至るわけです。もう何度読み返したかわかりませんが、それでも読む度にこの本は心に染み入ってきます。初めて読んでから4年がたった今でも読む度に新鮮な感じがします。今はこの本と出会った頃と周りを取り巻く状況が少し似ているせいか、また深く心が震えていました。この本の主人公は大学生で21になり、地元で夏休みを過ごしていて、私は18になる高3の夏にこの本を手にし、今21、今年で22にもなります。その時の流れと共に、私の主人公に対する視点もやはり動いてきたのでしょうか。あの当時得た共感と、今日得たそれとではやはり異なる何かがあるのでしょうか。まだ近すぎます。あまりに近すぎると目は全体を見ることができません。似通ってるんですよ、あの当時と今の自分が。そこの違いがまだ見えないのです。今があまりに近すぎるせいで・・・。

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