2004年3月16日火曜日

暖かい音楽が聴きたい日

 帰ってきて、ふと暖かい音楽を聴きたいなと思った。普段はどちらかというと重い、暗い、あやしい、といった言葉達が似合う音楽を好むから、割に珍しいことではあるのだけど、とにかく今日は暖かい音楽を聴きたいなと思った。さて、何がいいだろうと考えてみると、これが意外に思いつかない。例えば、世間で俗にヒーリングミュージックだとか癒し系だとか言われているようなジャンルの音楽、あれらは実はあまり暖かくはない。むしろどちらかというとヒヤリとした触感の熱冷まシートみたいな音が多い。じゃあ単純に長調のゆったりとしたナンバーを選べばいいかというとそうでもなく、『ジュピター』とかも何か暖かな落ち着きよりは仰々しいように感じてしまう。ラッセルの弾く『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』やグールドの弾く『ゴールドベルク変奏曲』のアリアといった、そんなイメージ。

 今日は、キース・ジャレットの『ブレゲンツ・コンサート』を選んでみた。2枚目の『ザ・ケルン・コンサート』を買った時に一緒に購入してきたこのCDは、もう『ザ・ケルン・コンサート』に次ぐお気に入りになっている。このコンサートの出だしは暖かく、優しく、少しの哀しさと大きな落ち着きと、そして控え目な喜びを紡ぎ出しているようで。進むに連れて前衛的で激しくなっていくので後半はあまり初心者向きとは言えないけれど、とにかくこの出だしの暖かさは他の音楽ではなかなか感じることのできない種類のカタルシスを連れてきてくれる。しみじみと、聞き入ってしまうのだ。

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